新型インフルエンザ 感染防ぐには?

新型インフルエンザが流行し、今日現在で死亡者も7例(深夜に北海道での死亡例の報道で8例)となりました。
なによりも夏休みが終わって、学校での感染拡大が危惧されています。
この感染拡大を防ぐにはどんな注意をしたらよいのでしょうか。

最近の新聞記事に、予防の基本となる手洗いやうがい、マスクの効果をまとめたものがありました。



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出典 朝日新聞・朝刊 2009.8.29
版権 朝日新聞社




#<新型インフルエンザ 関連ニュース>
#利尻の保健師死亡 新型インフル道内初 感染者と面談
道は31日、新型インフルエンザに感染した宗谷保健福祉事務所利尻支所に勤務する40代の保健師の女性が、30日に死亡したと発表した。
女性には高血圧症の持病があり、死因は(病理解剖の結果)急性心不全
新型インフルエンザとの因果関係ははっきりしていないが、新型に感染している人の死亡例は道内では初めて。

道によると、女性は29日、38度以上(38・7度)の高熱があったことから、稚内市内の医療機関で受診。
簡易検査で、新型への感染が疑われるA型陽性の反応が出たため、抗インフルエンザウイルス薬(タミフル)を投与された。

同日夜、女性は同市内のホテルに1人で宿泊。
翌30日午後2時ごろ、ホテル従業員が室内で意識を失っている女性を発見、119番通報したが、救急隊員が駆けつけた時には心肺停止状態だった。

道によると、利尻島では8月下旬、宗谷管内利尻富士町の中学校で新型の集団感染が発生。
女性は感染ルート確認などのため、21日に感染者と面談していたほか、A型陽性の別の島民の調査も担当。
女性は27日にせきが出始め、同日と28日は外勤しなかった。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/influenza/185999.html
出典 北海道新聞9月1日朝刊掲載(09/01 00:30)
()内は他の報道による。

<コメント>
今回のケースは殉職ともいえるケースです。
名古屋での2例も周囲の患者さんのみならず医療従事者に感染が広がりましたがいずれも回復しています。
「高血圧症の持病があり、死因は急性心不全」という結論で従来の症例と少し異なります。
発症後4日と短期間であること、診断が正しいとすると「高血圧→心不全」という新たな認識が必要なこと、やはりタミフルが効いていないこと(昨日にも記載)が教訓です。
もっともタミフルの投与開始が48時間以上たっていた可能性もあります。

糖尿病だけでなく高血圧も新型インフルエンザ重症化に関するハイリスクということでは、多くの患者さんがいる疾患だけにパニックになってしまいます。
高血圧がどうしてハイリスクなのか理由がよくわかりませんが、どの程度の高血圧であったのかも情報開示をして欲しいものです。

健診で全く異常がないという検査結果が出るのは受診者の10%程度ということが最近報道されました。
新型インフルエンザで死亡すれば、みな『持病』のせいにされなければよいと思うのですが。

タミフルの有効性も問題になって来る気配です。
服用のタイミングの問題があるも知れませんが、ほぼ全例がタミフルを投与されています。
統計上処理をするとタミフルが有害という結論が出てしまうかも知れません。

リレンザが投与されていないのも疑問です。
リレンザタミフルより効果発現が早いとも言われています。

5月(?)の最初の高校生の感染者にタミフルが投与されていたのも疑問です。
それは10代にはタミフルは投与しないということになっているからです。

<参考>
滋賀県は8月29日、県内の新型インフルエンザの感染が確認された男児(5)から、抗ウイルス薬「タミフル」が効かない耐性ウイルスが見つかったと発表した。国内での確認は5例目だが、耐性ウイルスが各地で発生している可能性もでてきた。
一方、タミフル耐性ウイルスについて、滋賀県は「ウイルスが体内で突然変異した可能性が高い」とし、感染力が弱く広がる恐れはないとしている。
男児タミフルの投与を受けていたが、高熱がなかなか下がらないなどの症状が続いたため、入院した。
現在は回復しているという。
http://sankei.jp.msn.com/life/body/090829/bdy0908291949004-n1.htm

#ワクチン接種、医療従事者を最優先…厚労省
新型インフルエンザのワクチンを接種する際、優先順位を医療従事者、持病がある人、妊婦、小児、乳児の両親とする厚生労働省の基本方針案が31日、明らかになった。

これら約1900万人への接種が終わった後で、小中高校生、高齢者に接種する。政府の専門家諮問委員会などの意見を踏まえ、国民の意見を募集したうえで、9月中旬にも正式決定する。

死亡者や重症者の発生を減らすことを目的に、健康に重大な影響を受けるおそれがある人を優先した。

具体的には、
〈1〉医療従事者100万人
〈2〉持病(ぜんそく、糖尿病など)がある人1000万人と妊婦100万人
〈3〉生後6か月~就学前の小児600万人〈4〉生後6か月未満の乳児の両親100万人
――を最優先接種者とし、この順で接種を実施。持病のある人の中では、小児を優先することにした。その後で小学生、中学生、高校生、高齢者の順に接種する。

年度内に国内で製造できるワクチンは、想定よりも大幅に少ない1800万人分と見積もっており、最優先接種者に使用する見通し。
不足分は輸入する方針だが、治験などを実施して安全性を確認し、問題がある場合には使用しない。

読売新聞 2009年9月1日03時09分

<コメント>
現時点における最新の報道です。



<追加>
中国で季節性インフルエンザの流行が始まりました。
われわれ医療機関では新型インフルエンザとの区別は出来ません。
その「仕組み」は明日お話したいと思います。


重慶市城口県政府によると、8月26日~28日にかけて城口県厚坪郷中心小学校で、61名の小学生や先生が発熱・咳・頭痛・食欲不振などの症状を訴え、検査の結果、新型インフルエンザではなく、A3型の季節性インフルエンザであることがわかった。
このうち、5例が重症だが、そのほかは地区の衛生院で隔離治療されているという。
http://www2.explore.ne.jp/news/articles/13102.html?r=sh 



<2009.9.7追加>
新型インフル:死亡の保健師タミフル未服用
新型インフルエンザに感染し、8月30日に死亡が確認された北海道稚内保健所利尻支所(利尻町)の40代の女性保健師が、医療機関で処方されたタミフルを服用していなかったことが分かった。
服用しなかったため症状が悪化、急性心不全を引き起こした可能性もあり、道は採取したウイルスの変異の有無などを詳しく調べる。

道健康安全室によると、保健師は8月29日に稚内市医療機関でインフルエンザA型と診断され、タミフルの処方を受けた。
翌30日、宿泊していた市内のホテルで倒れているのを従業員が発見。
処方されたタミフルが未服用状態で見つかったという。
薬を飲まなかった理由は不明。

保健師は21日、利尻町の隣の利尻富士町新型インフルエンザ患者の聞き取り調査などに従事した。高血圧症の疾患があったが、感染と死亡の因果関係はわかっていない。

毎日新聞 2009.9.4


<きょうの一曲>
Julie London - Cry me a river (HQ Audio)
http://www.youtube.com/watch?v=ByUOFV5TusE&feature=fvw



読んでいただいて有難うございます。
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