タミフル遅れても投与を

タミフル遅れても投与を A09年型インフル

インフルエンザA09年型の感染者には、遅くなっても抗ウイルス薬タミフルの投与を――。
そんなことを示す研究を国立国際医療研究センターの工藤宏一郎医師らがまとめ、米科学誌プロスワンに発表した。
タミフルの投与は発症後2日以内が望ましいとされている。

工藤医師らは、2009年に大流行したこのインフルエンザの発生国メキシコの国立病院と協力、症状とタミフル投薬後の経過を442人分の診療記録で調べた。

その結果、発症から2日以内にタミフルを投与された患者では重症肺炎の割合は2.2%と低く、早期投与が効果的であることが裏付けられた。
しかし、発症から2日以降の投与開始でも、重い症状を免れた患者が一定数いた。
メキシコでは発生当時、受診が遅れ、平均的なタミフルの投与時期は発症後5日だった。

工藤医師は「たとえ遅れても、飲んでもらう価値があることが裏付けられた」と話している。
(熊井洋美)
出典 asahi.com 2011.11.7                     
版権 朝日新聞社

<私的コメント>
インフルエンザA09年型に限っての話でしょうか。
このインフルエンザA09年型。
かつては豚インフルエンザとか新型インフルエンザといわれて大騒動になったインフルエンザウイルスです。
メキシコでの平均的なタミフルの投与時期は発症後5日とのこと。
日本では考えられません。


<関連サイト>

インフル「狙い撃ち」抗体を発見 藤田保健衛生大など

毎年のように流行するインフルエンザで、ウイルスの変異しない箇所を見抜いて「狙い撃ち」する抗体を、藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)などの研究グループが発見した。
25日付の米医学誌ジャーナル・オブ・バイロロジー電子版に発表した。

インフルエンザは、体内に侵入したウイルスの表面にある突起(HA)が人間の細胞にくっついて増殖する。
突起は棒の先に球がついたマッチ棒のような形で、抗体は突起にとりついてウイルスを撃退する。

だが、人間のほか、豚や鳥にも感染するA型インフルの突起は変異しやすいため、過去の感染で作られた抗体ではうまく撃退できないと考えられていた。

藤田保健衛生大の黒沢良和学長(免疫遺伝学)らは、世代の違う男性3人の血液から様々な抗体を採取。1968~2004年に流行したウイルス(H3N2)12種の突起と抗体との反応を調べた。

その結果、30代男性から得られた抗体の一つは、12種全てを撃退する働きがあることを発見。
突起が人間の細胞にくっつく際に接点となる球の「穴」の部分めがけて攻撃しているらしいことがわかった。

この穴はウイルスの他の部分が変異しても構造は変わらないと見られ、同様の抗体を人工的に作ることができれば治療に応用できるという。
黒沢学長は「新型インフルにつながるH5N1型にも同じ『穴』がある可能性が高い。今後、構造を詳しく調べたい」と話している。(高山裕喜)

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出典 asahi.com 2011.8.25
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