肥満あれこれ

昨年から特定健診がスタートしました。
いわゆるメタボ健診です。
あまりにも健診の内容が「メタボ狩り」に偏るあまり、大切な項目が削られてしまいました。
今まで行われていた貧血や心電図は検査項目に含まれていません。
高齢者の健診でも、問診で一定の異常がなければこんな簡単な検査もしてもらえません。
検査に来院する高齢者の多くは栄養不足が心配なような低体重の方のほうが多いのが実情です。

そして、来院される方は「少し体重が多いほうが長生きできる」という知識を持っています。
手続きや書式だけは大袈裟で内容が伴っていない。
これがこの健診の実情です。
われわれ医療従事者は、この健診がいつまで続くのだろうかと些か食傷気味です。

この健診が行われるようになってからは、保健所で「がん検診」を行う住民も減ってしまいました。

さて、きょうは「肥満」について少し考えてみました。

まずは新聞記事からの紹介です。

イメージ 1

出典 朝日新聞・夕刊 2009.12.14
版権 朝日新聞社



<肥満 関連サイト>
#肥満
http://ja.wikipedia.org/wiki/肥満

#肥満ホームページへようこそ
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/seikatu/himan/index.html
(日本循環器研究振興財団の監修です。わかりやすく上手にまとめられています。)

#肥満受刑者「おかゆ減量」強制は人権侵害 弁護士会勧告
■大阪刑務所(堺市)が肥満の受刑者らに「おかゆダイエット」を強制したのは人権侵害にあたるとして、大阪弁護士会は14日、同刑務所に改善を求める勧告書を送ったと発表した。
弁護士会によると、大阪刑務所は05年末以降、肥満や高血圧などの症状がある5人に対し、医師の診断を経たうえで「減量目的」を理由に主食の米飯をおかゆに切り替えた。
刑務所の記録では、高血圧の男性(50)には1年4カ月続き、体重が70キロから55キロに減ったという。
弁護士会は、本人が望んでいないのにおかゆを食べさせたのは不当と判断。生命の危険などがない限り、本人の意思に反した医療措置をとることを禁じた受刑者処遇法に抵触するとしている。
http://www.asahi.com/national/update/1214/OSK200912140082.html
出典 asahi.com 2009.12.14
版権 朝日新聞社
<コメント>
当院に「塀の向こう」に居た方がみえました。
以前、糖尿病で通院していた方ですが、「塀のこっち」に戻ってから来院された直後は検査値はすべて正常になっていました。
その後はコントロールが困難な糖尿病にすっかり戻ってしまったことを思い出しました。

#肥満の学生は卒業できない? 米大学の方針に賛否両論
■大学卒業の条件は、学業成績と体格指数(BMI)――。
肥満が社会問題となっている米国で、ペンシルベニア州リンカーン大が設定した新たな規定が議論を呼んでいる。
■問題の規定は、BMIの数値が30を上回り、さらに腹囲の計測結果などから肥満と判定された学生に対し、週3回エアロビクスなどを中心としたフィットネスの授業を取ることを義務付ける内容。
これを修了しなければ、卒業が認められないという。
規定が設けられたのは2006年だが、当時入学した学生らが最終学年に入り、来春卒業の時期を迎えることから、問題が表面化した。
■同大の保健体育部門を統括するジェームズ・ディボイ氏によれば、該当する学生620人の中には、BMIの数値が30未満におさまっているケースや、30を超えていてもすでにフィットネスの授業を修了したケースが多い。
まだ検査を受けていないのは80人で、年明け以降に約12―15人がフィットネスの受講を義務付けられる見通しだという。
■ティアナ・ローソンさん(21)もその1人。最近になってBMI検査を受け、自分に受講義務があることを知ったローソンさんは、同大の学生新聞に抗議の論説を書いた。
■「私がこの大学に来たのは教育を受けるため。
BMIは多少高くても、良い成績を取り、優等賞も3回受賞した」と、ローソンさんは主張する。
「フィットネスの授業が全学生に義務付けられるというのならまだ分かる。一部の学生の健康状態にだけ干渉し、運動を強制する大学の姿勢は理解できない」
■これに対し、ディボイ氏は、学生が将来の目標を達成するうえで、言語や数学の能力と同様、肥満度も社会的評価の対象となるのが現実だ、と説明。
「予算が無限にあれば、フィットネス受講の機会を全学生に提供したいほどだ」と話している。
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200912130014.html
出典 CNN.co.jp 2009.12.13
<コメント>
どちらの言い分に軍配をあげればいいのでしょうか。
入学前から決まっていたことかどうかということが論点ですね。


#肥満率3・4%、日本が最小 OECD保健医療調査
経済協力開発機構OECD)が8日公表した「図表で見る保健医療2009」によると、加盟30カ国中で成人の肥満人口の割合が最も低いのは日本だった。
日本は平均寿命でも加盟国中、最も長い82・6歳(2007年)と好成績を示した。
■「図表」は、ことし7月にOECDがまとめたヘルスデータなどを基に、先進国を中心とする加盟国の保健医療状況を分析した。
■それによると、体格指数(BMI)が30を超える「肥満人口」の割合は日本が3・4%と最も少なく、韓国(3・5%)が続いた。
米国は日本の10倍に当たる34・3%。ほかに英国(24・0%)などが高かった。
平均は15・4%。
■日本は医療機器の普及でも、人口100万人当たり磁気共鳴画像装置(MRI)が40・1台、コンピューター断層撮影装置(CT)が92・6台と最も高かった。
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009120801000585.html
出典 共同ニュース 2009.12.8
<コメント>
OECD加盟国の中で肥満率が最小で平均寿命でも最長の日本。
メタボ対策が滑稽に思えてしまいます。
禁煙の方がはるかに有意義であることは誰でも知っていることです。


#肥満に悩んだら~原因から治療まで~
http://noso77.com/himan/




読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
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