体内時計と高血圧

#体内時計の乱れ→血圧調整ホルモン過剰に=高血圧
昼夜逆転など不規則な生活などで24時間のリズムを刻む体内時計が乱れると、高血圧になりやすくなる仕組みを京都大薬学研究科の岡村均教授、土居雅夫講師のグループらが解明した。

治療薬の開発や高血圧が引き金となる病気の予防などにも役立つと期待される。
英医学誌ネイチャーメディシンに14日発表した。
体内時計の異常が疾患の原因になることを明確に示した世界初の研究成果という。

効率良い活動・休息のリズムは、周期的なホルモン分泌などによる「体内時計」によって刻まれる。
体内時計の乱れは、時差ぼけや睡眠障害を引き起こす。
生体リズムの乱れは、肥満や高血圧を引き起こし、実際、昼夜交代勤務者に高血圧が多いことが知られている。
しかし、詳しい仕組みはこれまで分からなかった。

岡村教授らは、体内時計を動かす「時計遺伝子」「Cry1」と「Cry2」の働かないマウスに、塩分の多い食事を与えると、高血圧になりやすいことを発見した。
血圧を調整するホルモン(副腎ホルモンのアルドステロン)が過剰に分泌されているためで、このホルモンの分泌には、副腎で作られる酵素(Hsd3b6)が関与していることがわかった。
正常なマウスは、アルドステロン合成酵素の量が体内時計に合わせて調節されていたが、時計が壊されたマウスは酵素量が多いままで、ホルモンの過剰分泌をまねいていた。
酵素は体内時計で、朝低く夜高いように調整されているが、体内時計が働かないと、ずっと高いままだった。

人間でも生活リズムが崩れると、Cryが刻むリズムに乱れが生じる。
副腎の酵素は人間にもあることから同じ仕組みが働いている可能性が高い。

岡村教授は「実際の高血圧の患者で、体内時計や酵素に変化が生じているか調べて、薬などの開発に結びつけたい」と話している。
出典 読売新聞 2009.12.4
版権 読売新聞社

<参考サイト>
体内時計が乱れ高血圧症に  京大グループが解明
イメージ 1

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009121400051&genre=G1&area=K00

<コメント>
昼夜交代制の職場で働く人は高血圧症が多いということはいわれてきました。
しかし、その原因はわかっていませんでした。
結局は、「規則正しい生活を送り、塩分を控えることが、高血圧の予防や治療につながる」ということです。
医師がアドバイスし、患者さんも分かっていたことが科学的に証明されたということです。

アルドステロン拮抗剤な随分以前から存在します。
今後はアルドステロン合成酵素(Hsd3b6)を抑制する薬剤が開発される可能性が出てきました。



読んでいただいて有難うございます。
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