高血圧、予防のカギは塩(1)

高血圧を放っておくと、脳卒中心筋梗塞など命取りの病気につながりかねません。
高血圧は気づかぬうちに、じわじわと体をむしばみ、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれています。
大きな要因の一つが食塩のとりすぎです。
日本人は20代でも、塩をとりすぎているようです。
高血圧は決して中高年だけの問題ではありません。(寺崎省子、田之畑仁、坪谷英紀)


◇ 放置すると「死に至る病」 ◇
「高血圧です。早く治療したほうがいいですね」

4年前の6月、会社員男性(44)は高血圧と診断された。
仕事が忙しく会社の健康診断も数年受けていなかった。
生命保険の切り替えで、近所の病院で健診を受けた。血圧を測ると、上が200(単位はミリ水銀柱)近く、下が110(同)ぐらいでびっくり」

8月末に循環器の専門医を訪ねると、「たばこをやめないと命の責任は持てない」と言われた。
多い日には2箱吸っていたたばこをやめた。
降圧剤の処方を受け、
(1)血圧を毎日測る
(2)歩くなど運動をする
(3)減塩、野菜をたくさんとる
――などを助言された。

休日には、スポーツクラブでウオーキングやスイミングに励んだ。
間食もやめ、玄米食にし、小松菜など青菜を以前より食べるように。毎日の食事と歩行数もメモにした。

こうして降圧剤を服用し3カ月。上が130台、下が80台まで下がった。

イメージ 1



◇ 日本に4千万人、高校生も3% ◇
中高年の3人に1人以上は高血圧という。
血圧は血液が流れるときに血管の壁にかかる圧力のことで、一定より高い状態が続くと、「高血圧」が問題になりかねない。

心臓が縮んで血液を押し出したときに、血管の壁に最も強くかかる圧力を「収縮期血圧」(最高血圧)、収縮後に心臓が広がって圧力が最も下がったときを「拡張期血圧」(最低血圧)と呼ぶ。

診察室で測った時に収縮期140以上、拡張期に90以上なら高血圧と診断される。
家庭で測れば、収縮期135以上、拡張期85以上だ。
家庭では、低めに出る傾向がある。

1960年代、日本は脳卒中による死亡率が世界一高い国だった。
原因の多くは、高血圧によって脳内の細い血管が傷つき出血するタイプの脳卒中だった。
日本には高血圧の人がいまも約4千万人おり、脳卒中による死亡率は依然、欧米より高いという。

◇ 動脈硬化 → 脳出血脳梗塞心不全 
「血圧の高い状態が続くと、血管の壁が傷み、弾力性が失われて動脈硬化が進む。実年齢よりも、血管の老化が進み、早くボロボロになりやすい」と話すのは、自治医科大学付属病院の島田和幸院長(循環器内科)だ。

高血圧でまず、脳や腎臓などの細い血管の壁が傷んで壊死し、動脈硬化になる。
やがて、血管壁が破れて出血したり、血のかたまり(血栓)が血管の内側に詰まったりする。
そうして起こるのが、脳出血脳梗塞だ。

心臓にも影響する。
高い血圧に負けずに全身に血液を送り出すため、心筋を増やして大きくなる。
この心肥大が進むと、心臓が機能しなくなり心不全になってしまう。

子どもにも、原因が特定できない高血圧がある。
小学校高学年から中学生の0.1~1%、高校生の約3%が高血圧の疑いという調査結果もある。
肥満に関連するようだ。

高血圧は自覚症状がほとんどないのも特徴だ。
放置すると、気づかぬうちに脳卒中心不全、腎不全など「死に至る病」になりかねない。

滋賀医科大学生活習慣病予防センターの上島弘嗣特任教授(予防医学)によると、6千人を対象にした調査では、収縮期血圧140以上、拡張期血圧が90以上の人のうち、30代の半数、50代の7割以上が高血圧と自覚していた。
しかし、30代の7割、50代の4割は、生活習慣の見直しや治療をしていないという。

出典 朝日新聞・朝刊 2010.6.28
版権 朝日新聞社



<番外編>

ホテルニューオータニの宴会場で59人食中毒 ノロウイルス検出、営業停止処分へ

東京都は13日、ホテルニューオータニ千代田区)の2つの宴会場で7日に食事をした24~75歳の男女59人が吐き気などの食中毒症状を訴え、うち18人からノロウイルスを検出したと発表した。
ほかに厨房の従業員1人からもノロウイルスを検出。
いずれも軽症で入院した人はいない。
千代田区は関係した一部の厨房と宴会場を14日から6日間の営業停止処分とする。

都やホテルによると、営業停止となるのは厨房3カ所と本館ザ・メインの宴会場「芙蓉東の間」、「おり鶴 悠の間」。
7日にあった企業の社内会議などでサラダやサンドイッチ、すしなどを食べた2グループ(計209人)からホテルへ9日以降、食中毒症状の連絡があったという。

同社は「発症されたお客さまやご家族などに多大なるご迷惑をおかけしたことを深くおわびします」としている。


<私的コメント>
私自身、翌日(4月8日)の昼、ニューオータニの本館宴会場で講演会に出席し、その後宴会場で食事をとりました。
まさに「危機一髪」「吉凶禍福は糾える縄のごとし」です。

この記事の引用は決して誹謗中傷を目的といたものではありません。
高級フランス料理の店で牡蠣を食べての、ノロウイルスによる食中毒は日常茶飯事です。
「うちのトリやレバーは絶対大丈夫だから」というお店の言葉を信じてはいけません。
「絶対」という言葉が一番信じられません。

イメージ 2


東京・ニューオータニ本館 2012.4.8 13:12 撮影


読んでいただいて有り難うございます。
コメントをお待ちしています。

他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(H20.5.22~)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(H19.8.3~)
(いずれも内科専門医向けのブログ)
「井蛙」内科メモ帖
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
(「井蛙内科開業医/診療録」の補遺版)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログ)
「葦の髄」メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」の補遺版)
があります。