薄毛対策 5段階評価

国内で約800万人が悩んでいるとされる男性型脱毛症について、日本皮膚科学会は治療薬や植毛などの10種類の対処法について5段階で評価した初の診療指針をまとめました。
17日の同学会で発表するとのことです。
近年、さまざまな商品なども出てきているため、育毛剤のメーカーからも資料提供を受け国内外の研究論文を基に科学的根拠の有無を検証したものです。


近年、科学的根拠が乏しい関連商品やサービスが横行し、健康被害や金銭的なトラブルが多発している折、指針をまとめた同学会委員会のメンバーの1人は、「多くの患者が悩んでいるのは事実。医療関係者向けに客観的な対処法の評価として示したい」と話しています。


##脱毛症:育毛成分など対症法5段階評価…学会が診療指針
額の生え際や頭頂部の髪が思春期以降に薄くなる男性型脱毛症について、日本皮膚科学会は、治療薬や育毛成分などの対症法を5段階で評価した診療ガイドラインを初めて作成した。

男性型脱毛症は、遺伝や男性ホルモンの影響が主な原因と考えられ、対象者は国内で1260万人と推計される。
塗り薬や飲み薬などの治療薬が発売される一方で、植毛術や発毛術を行うサロンや、さまざまな育毛剤が登場している。
その医学的根拠に基づいた有効性は検証されておらず、頭皮が炎症を起こすなどの問題も起きていた。

坪井良治・東京医大教授を委員長に、計10人の皮膚や毛髪の専門医が、国内外の論文を基に効果を検証した。

その結果、飲み薬(成分名フィナステリド)と塗り薬(成分名ミノキシジル)を「行うよう強く勧められる」(Aランク)と判定。
一方、人工の毛を植える人工毛植毛は感染や拒絶反応などの有害な事例があるとして「行わないよう勧められる」(Dランク)とした。
また、後頭部の頭髪を脱毛部に移植する自毛植毛は「行うよう勧められる」(Bランク)、医薬部外品・化粧品ではt-フラバノン、アデノシンなど5成分について「行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない」(C1ランク)と判定した。
成分名は商品に表示されている。

 
◇明確化される男性型脱毛症の対症法◇
  <対症法>       <推奨度>

フィナステリドの内服      A

ミノキシジルの外用       A

自毛植毛術           B

医薬部外品・化粧品育毛剤の外用

 ▽塩化カプロニウム      C1

 ▽t-フラバノン       C1

 ▽アデノシン         C1

 ▽サイトプリン・ペンタデカン C1

 ▽ケトコナゾール       C1

 ▽セファランチン       C2

人工毛植毛術          D

A=行うよう強く勧められる

B=行うよう勧められる

C1=行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない

C2=根拠がないので勧められない

D=行わないよう勧められる

日本皮膚科学会の資料を基に作成)


なおフィナステリドは女性の場合は、行わないよう勧められる「D」とされた。

反論の例としては
C2と分類されたセファランチン(血行促進などの作用がある植物の根)が主成分の育毛剤を製造する化研生薬(東京)は、「医薬部外品なので論文データが不足しているのは事実だが、動物実験で効果が示されている」と話している。
 
またDとされた人工毛植毛を行っている大手業者の社長(57)は、「私自身も使っており、30年以上使うリピーターもいる。安全性への配慮に欠けた商品と一緒に評価しないでほしい」と話している。