首のしこり

原因最多はリンパ節の腫れ

首のしこりの原因として最も多いものは、リンパ節の腫れです。
風邪をひいたときなど、細菌や風疹などのウイルスがリンパ節内に入り、炎症が生じたり、扁桃やのどなどリンパ節に近い部位で炎症が生じたりすると、リンパ節が腫れて首にしこりを感じます。
感染が原因であるこういった首のしこりは、痛みを伴うことが多いのですが、体調の回復とともに治っていきます。
また、痛みがなくなりしこりだけが残った場合も1~2カ月もすると自然に消失します。
この場合の首のしこりは特に問題ありません。風邪の治療などとともに、しこりが消えていくかどうか、まず様子をみていいでしょう。

しこりが消えなかったり、急に大きくなってきたり、数が増えてきたりするようでしたら、感染以外の、腫瘍などの原因が考えられます。
特に、痛みがなく硬く大きいしこりは悪性腫瘍が疑われます。
この場合の首のしこりは、耳鼻科的な診察や検査が必要です。なぜならこの首のしこりは、耳、鼻、口の中、のど、またはほかの体の部位に悪性腫瘍などの何らかの原因があると考えられるからです。
ほかにもリンパ節自体の悪性腫瘍が存在し、しこりになることがあります。

また、耳の下、あごの下にそれぞれある耳下腺、顎下腺(唾液(だえき)を出すもの)、のどぼとけの下にある甲状腺(ホルモンを出すもの)の腫れが首のしこりとなることがあります。
ふだんは、見たり触ったりしてもわからない臓器です。
このしこりが腫瘍である場合は手術が必要となることがあります。
また、悪性腫瘍である場合は、さらにこれが原因で首のリンパ節が腫れ、首のしこりが増えることもあります。

ほかにも、生まれつき首の中にあった嚢胞(のうほう)(水分がたまった袋状のもの)が、突然ふくれてきたり、感染を起こして痛みを伴う腫れを起こしたりして首のしこりとなることがあります。
嚢胞の場合は一般に手術が必要です。

首は細いですが、呼吸の通り道、食事の通り道であり、脳につながる太い動脈や静脈、脳から下りてくるいくつもの重要な神経が走る大切な部位です。
気になる首のしこりがある方は早めに外来受診をして相談してください。
(市立長浜病院耳鼻咽喉科・糟谷憲邦=滋賀県医師会)
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20100812144926715
出典 中日新聞・朝刊 2010.8.4(滋賀)
版権 中日新聞社




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