新点眼薬で差し忘れ防止

中途失明原因1位の緑内障 新点眼薬で差し忘れ防止

今年に入って緑内障の新しい点眼薬が相次いで登場した。
作用の異なる2成分が混ざった配合剤で、「目薬の差し忘れが防げる」と好評だ。緑内障は中途失明の原因1位。自覚しづらいこともあって対応が遅れることも多く、早期発見と治療が欠かせない。

MSDが製造し参天製薬が6月から発売した緑内障治療薬「コソプト」。コソプトのシェアが5割弱で、残りをファイザーの「ザラカム」と日本アルコンの「デュオトラバ」が分け合う。どれも1日1~2回の点眼で済む。

緑内障の治療では、これまで症状の進行度合いに応じて、複数の点眼薬を併用するのが主流だった。
2種類以上の薬を併用する場合、朝、昼、夜に分けて複数回の点眼が必要になる。
新家真・公立学校共済組合関東中央病院長は「1日1~2回点眼する場合は9割の人が点眼回数を守れるが、1日3~5回に増えると、守れる人は半分に減る」と説明する。

点眼薬は決められた回数をきちんと差さないと、目的の効果が得られない。
「配合剤は患者の負担を減らし、差し忘れも少なくなる」(MSD広報)

点眼方法は、上を向いて下まぶたを人さし指で下げて1滴だけ差す。
そして薬が目全体に行き渡るようにまぶたを軽く閉じ、2分間待つ。
このとき、薬が鼻に抜けないように指で目頭を押さえるのがコツだ。
「うまく差せない人のために、医療機関を通じて点眼補助具を提供している」(ファイザー広報)

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老眼と勘違いも
緑内障は視覚情報を脳に伝える経路が侵され、目が見えなくなる病気だ。
紀元前から知られ、「目が地中海の緑色になったら失明する」といわれてきた。ただ実際に目が緑色になることはない。

症状が始まると、視界がだんだん白く、ぼんやりとしてくる。欠けた視界は脳がある程度補うため、変化に気付きにくい。
発症から数十年かけて徐々に進行することから、老眼と勘違いする人もいる。

日本緑内障学会が2000~01年に岐阜県多治見市で実施した調査では、40歳以上の5%、20人に1人が緑内障と診断された。
このうち緑内障と気付いていなかった人は9割いた。全国の患者数は390万人と推定される。

中途失明原因1位の緑内障 新点眼薬で差し忘れ防止

今年に入って緑内障の新しい点眼薬が相次いで登場した。
作用の異なる2成分が混ざった配合剤で、「目薬の差し忘れが防げる」と好評だ。緑内障は中途失明の原因1位。自覚しづらいこともあって対応が遅れることも多く、早期発見と治療が欠かせない。

MSDが製造し参天製薬が6月から発売した緑内障治療薬「コソプト」。コソプトのシェアが5割弱で、残りをファイザーの「ザラカム」と日本アルコンの「デュオトラバ」が分け合う。どれも1日1~2回の点眼で済む。

緑内障の治療では、これまで症状の進行度合いに応じて、複数の点眼薬を併用するのが主流だった。
2種類以上の薬を併用する場合、朝、昼、夜に分けて複数回の点眼が必要になる。
新家真・公立学校共済組合関東中央病院長は「1日1~2回点眼する場合は9割の人が点眼回数を守れるが、1日3~5回に増えると、守れる人は半分に減る」と説明する。

点眼薬は決められた回数をきちんと差さないと、目的の効果が得られない。
「配合剤は患者の負担を減らし、差し忘れも少なくなる」(MSD広報)

点眼方法は、上を向いて下まぶたを人さし指で下げて1滴だけ差す。
そして薬が目全体に行き渡るようにまぶたを軽く閉じ、2分間待つ。
このとき、薬が鼻に抜けないように指で目頭を押さえるのがコツだ。
「うまく差せない人のために、医療機関を通じて点眼補助具を提供している」(ファイザー広報)

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なぜ緑内障になるのか。
多くの場合、眼球内部の液体の圧力(眼圧)が高まり、視神経の出口にあたる視神経乳頭が圧迫されることが原因。
これによって視神経が傷つき、目で見た映像が脳に伝わらなくなる。

眼圧を左右するのは房水という液体だ。
これが目の外へ流れ出す組織が詰まったり、流れにくくなったりすると、目の中に房水がたまり、眼圧が高まる。


検査方法多様に
ただ「日本人の緑内障患者の多くは、眼圧が正常範囲」(新家院長)というデータもある。
近視で目の組織が弱く傷つきやすい人が多いという説や、遺伝的な原因などの説があるが、詳しくはわかっていない。
眼圧が正常範囲でも、さらに眼圧を下げるのが治療法となる。

点眼薬は房水が作られるのを抑えたり、流れ出すのを促したりする。
治療ではまず点眼薬を使い、うまく眼圧が下がらなければレーザー治療や切開手術で房水の排出量を増やす。

新しい検査方法も広がり始めた。光干渉断層計(OCT)で眼底の状態を調べる3次元画像解析装置が08年に保険適用となり、急速に普及している。
これまでは写真で撮影していたが、コンピューターによる解析で視神経が薄くなった部分を判別、簡単に診断できるようになった。
このほか見える範囲を調べる視野検査や眼圧検査を組み合わせて検査する。

緑内障が怖いのは、いったん視野が欠けると回復しないからだ。
気付いたころには症状が進行していることも多い。
ただ早期に発見できれば、進行を抑えることは可能。愛媛大学の大橋裕一教授(眼科)は「人間ドックで眼科医による眼底検査を受ければ、異常が見つかりやすい」と早期診断を勧める。
(川合智之)
出典 日経新聞・朝刊 2010.12.10
版権 日経新聞



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