アイメークによる目のトラブル

この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。
犠牲になられた方々、そしてご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、福島第一原発事案(事故)で避難中の方々、そして計画停電中の首都圏の方々にお見舞い申し上げます。
また、被災者支援や原発復旧作業などの災害対策に全力を尽くしてみえる皆様に敬意を表します。



きょうはアイメークのお話です。
女性には興味のあるテーマでしょうが、男性には「申し訳ない」内容です。

さて、男性にとって「アイメーク」という言葉自体も馴染みがありません。
化粧自体が、そもそも女性特有のものです。
(男性でも歌舞伎役者や俳優や、最近TVに出没しているような特殊な男性は別です)
何だか「禁断の園」に迷い込んだような不思議な気持ちになってしまいます。



アイメークで瞳ぱっちり 目のトラブルに注意

大きく印象的な目元は多くの女性のあこがれだ。
化粧品売り場や美容雑誌などで様々な化粧方法が紹介されているが、最近は特に、目の輪郭を暗い色で縁取るアイメークの人気が高い。
アイライナーでぱっちりした瞳を演出する方法だが、塗り方を間違えると目の障害につながることもある。


「最近、目の中がコロコロするんです」。
昨夏、50歳代女性が目の違和感を訴え、ある眼科を受診した。
この医師が顕微鏡をのぞくと、まつげの内側の粘膜に、落としきれなかったアイメークの汚れが点々と残っている。
目の表面細な傷が無数にあり、この傷が違和感の原因になっていた。

また、コンタクトレンズ着用時の不快感を訴え来院した40歳代の女性の場合、レンズの表面にアイシャドーのラメなど化粧品の汚れがこびりついている。
レンズは曇り、レンズと眼球の間にはマスカラの繊維が入り込んでいた。

いずれも「まつげの内側の化粧を控えるように」とアドバイスしたところ約1週間で症状は改善した。

このように不適切なアイメークにより目の障害を訴える人が増えている。
まつげの生え際の内側には、マイボーム腺の開口部が並んでいる。
上まぶたに約25個、下に約20個あるマイボーム腺から脂が分泌され、目の表面の涙の蒸発を自然に防いでいる。
そこを油性のアイライナーなどでふさいでしまうと、脂が出にくくなり、目の潤いが保てず、乾燥し角膜が傷付くこともある。


コンタクト変形
目のまわりを黒や茶色のアイライナーでぐるりと縁取る「インラインメーク」が広がり始めたのは2008年ごろ。
コンタクトレンズ大手のチバビジョン(東京都品川区)が昨年、普段アイメークする女性300人を対象に調査したところ、全体の約7割がインラインメークを実践していると回答した。

調査では、コンタクトレンズのトラブルについても質問している。
レンズの曇りやゆがみなど不快な経験をしたことがあるか尋ねたところ、インラインメークをしている人はそうでない人に比べ、トラブルの経験率が高かった。
「化粧品やクレンジング剤に含まれる油分がレンズの変形や曇りの原因になっている」という考えもある。

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角膜の傷や汚染したコンタクトレンズの長期使用は、細菌の感染や角膜潰瘍など重い眼障害につながる事もある。
目の乾燥や、コンタクトレンズの障害を引き起こしては、せっかくの化粧も逆効果になる。
目の負担になりにくい、化粧法はどうすればよいのか。


まつげの上に筆
そもそも化粧品メーカーとしても、粘膜の内側まで塗る方法は推奨していない。
アイメークの本来の狙いは、目を立体的で美しく見せること。
アイライナーやアイシャドーで目の形を整えたり、変化させて印象を強める。
「アイライナーは内側の粘膜まで塗らなくても大丈夫」と専門家はいう。

しかし、細い筆先を操るのは初心者には難しい。
目に刺さらず、上手にラインを引くコツを聞いた。
まず鏡を顔の下側に置く。
あごをあげ上まつげが良く見えることを確認する。次に筆を横に寝かせた状態で、まつげの根元にのせる。
目頭から、まぶたのラインに沿わせながら目尻までそっと描く。

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まつげの上に筆を置くことがポイント。
筆先がまつげの内側や目の中に入りにくい。
濃いメークにしたい場合は、最初にひいた線より外側に太く線を広げていく。下まぶたを描く場合には鏡を上に置くと描きやすい。

多くの女性にとって、欠かすことのできないアイメークだが、「目に入ると異物」であることは明らかだ。
化粧を塗るスポンジやアイシャドーのチップなどの道具は常に清潔に保つ。
目に異常を感じたら、使用を中止し、眼科医を受診するのがおすすめだ。


汚れきれいに落とす洗顔
汚れをきれいに落とす洗顔方法も身につけたい。

使うのは、専用のアイメークリムーバー(化粧落とし)とコットンがおすすめだ。
皮膚の薄い目の周りの汚れを、優しく、手早く落とすことができる。
まず、コットンにリムーバーをよく染み込ませる。
指ではさみ、上まぶたの上に乗せて、そのまま少し置く。コットンにメークがなじんだら、上から下に優しくなで下ろす。

下まぶたの化粧は、四つ折りにしたコットンの先端を目尻から目頭に逆らうようになでて、汚れをふき取る。コットンが汚れたら、裏返して常に新しい面を使う。細部には、リムーバーを染み込ませた綿棒も使いやすい。

コンタクトレンズを使用している人は、洗顔前に必ず外そう。
クレンジングオイルなどの油分で変形しやすいので注意が必要だ。
[日経プラスワン2011年2月12日付]
出典 日経新聞 Web刊 2011.2.12
版権 日経新聞


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