食事で防ぐ尿路結石

尿路結石、食事で防ぐ 海藻や果物、多めに

■おしっこの成分が結晶になり、ときに激しい痛みを伴う尿路結石。
患者は増え続け、国内の男性の7人に1人、女性の15人に1人が一生のうち1度はかかるといわれる。
最近は再発を防ぐための手段として、食事を中心とした生活習慣の大切さが注目されている。

■ホウレンソウやタケノコといった食品は、石をつくるシュウ酸を多く含む。
でもカルシウムを一緒にとれば、腸で吸収される前に結合して多くが便として排出される。

■尿が濃くならないよう、1日2リットル以上の水分を取ることも大事だ。
結石が溶けやすいように尿をアルカリ化する海藻や果物、野菜をなるべくとり入れるといった注意で、再発のリスクを下げることができる。

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■尿路結石に一度なった患者の半数近くが5年以内に再発しているとされる。

■ある調査では、水分を多く取ることだけを指導した場合、3年後に7割近くが再発していた。
食事指導を加えると3年後で2割、8年後でも4割ほどの再発率にとどまった。

■再発を減らすための薬はあるが、長期にわたって処方し続けてもらわなければならず、次第に飲まなくなる人が多い。
結石は再発を繰り返すと腎臓の機能が下がる。
食事やライフスタイルの見直しがとても大切。
今では多くの泌尿器科医が食事指導に取り組んでいて、患者の約6割が指導を受けているという。

■結石予防のポイントの多くは、肥満症や高血圧といった生活習慣病を防ぐ注意点とも重なる。
患者の大部分を占めるカルシウム結石や尿酸結石は、高カロリーや高脂肪といった食生活が原因の一つとされ、患者で糖尿病や脂質異常などもかかえる人は多い。

■結石の種類によっては、少数だが生活習慣ではなく遺伝的な原因が強かったり、特定の薬の多用が原因になったりして、治療や予防法も異なる。
結石が出たら分析してもらうと今後の食事療法の参考になる。

内視鏡使って粉砕
■主に腎臓でできた石は、尿管に落ちてくる。
専用の装置で体外から衝撃波を当てて石を砕くESWLという方法が1980年代半ばに国内に導入されて以来、治療の主流になってきた。

■それまでの手術と比べて患者の負担は大きく減ったが、衝撃波で他の組織を傷つける心配が残る。
砕いた破片は、自然に出てくるのを待つしかなかった。

■一方ここ数年、内視鏡を使ったTUL(経尿道的尿管砕石術)という治療法が広まってきた。
細い管を尿道から入れて先端に付いたレーザーで石を粉砕。
そのまま破片を回収して、体外に取り出せる。

■石の大きさなど次第でだれにでも適用できるわけではないが、石を確実に取り除けるTULは患者の満足度が高い。

■自然排石を早めるα1ブロッカーという薬の治験も進んでいる。
海外で効果が認められ、国内でも順調にいけば数年以内に、この薬が10ミリ以下の結石への選択肢になる見込みという。



<私的コメント>
腎結石が尿管に落ち込んだのが尿管結石です。
腹部エコーをやっていて腎臓に結石陰影が写る患者さんがしばしばあります。
そういった方は今後尿管結石の激しい発作に見舞われることがあり得るのですが、黙っていた方がいいのかどうか迷うことがあります。
一生発作が起きない可能性もあるからです。
しかし、黙っていては医療過誤(診断ミス)にもなりかねません。
ここは心を鬼にしてすべてを話すのが医師としての務めなのです。


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