ミトコンドリア遺伝子変異で糖尿病に 筑波大など

筑波大学の林純一教授や千葉県がんセンターなどは、生命活動に必要なエネルギーを細胞内で合成している小器官ミトコンドリアの遺伝子に異常があると、糖尿病やリンパ腫になりやすいことを動物実験で突き止めた。
11日付の米科学アカデミー紀要に掲載された。

ミトコンドリアは呼吸で取り入れた酸素を使って活動に必要なエネルギーを作っている。
研究チームがミトコンドリアの遺伝子を操作し、呼吸能力が低下して活性酸素が生じるような突然変異を起こさせたところ、糖尿病になることがわかった。
マウスが死んだ後に解剖すると、リンパ腫が高頻度で発症していたことも明らかになった。

突然変異を起こしたマウスに抗酸化剤を与えると、糖尿病やリンパ腫の発症が抑えられた。
このことから、研究チームは人間の症例でも、抗酸化剤の投与が予防に役立つのではないかと期待している。

出典  日経新聞 Web刊 2012.6.12
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