脳卒中再発を防ぐ

禁煙・節酒、食事… 生活習慣改善で脳卒中再発防ぐ

脳の血管が詰まったり急に破れたりする脳卒中は、再発しやすい病気だ。
患者の2人に1人は10年以内に再発する。
なかには何度も起こす人もいる。
下地となる生活習慣や病気を持っているのが主な原因で、初めのときより重い後遺症が出たりする。
専門家は「生活習慣を改善し、処方された薬をのみ続けることで再発の危険性を減らしてほしい」と呼び掛けている。

脳卒中の年間発症者数は推計で約30万人。
亡くなる人は約12万人に上る。
中高年に多い病気で、死因としてはがん、心臓病、肺炎に次ぐ。
脳卒中でのみ込む能力が低下し、肺炎になることもある。
脳卒中の治療法は進化しているが、運良く助かったとしてもまひなどの後遺症が出やすい。
寝たきりなど重度の要介護の約3割を占めるとされる。

脳梗塞が7割
脳卒中は3つに分けられる。
脳の血管が詰まる脳梗塞、細い血管が破れる脳出血、脳の表面を走る大きな動脈にできたこぶが破れるくも膜下出血だ。
このうち、脳梗塞が全体の約7割を占めており、脳出血は約2割、くも膜下出血は約1割だ。

3タイプとも再発しやすいが、特に再発率が高いのが脳梗塞で、1年以内でも10人に1人は再発している。再発すると重症化する例も多い。
特に1度目とは反対側に再発が起こると、両側のまひや言葉の障害など重い症状が出る。

脳梗塞の中でもタイプがいくつかあり、心臓にできた血の塊(血栓)が脳の動脈に流れ込んで起こるタイプは、特に重症化しやすい。
高血圧が原因で脳の細い血管が傷ついて起こるタイプは、症状は比較的軽いものの、繰り返すと認知症につながることもある。

一般的な脳梗塞の主な原因は生活習慣による動脈硬化だ。
高血圧や糖尿病、高コレステロール、喫煙が動脈硬化の4大危険因子という。
このほか、加齢や過度なストレスなども発症の危険を押し上げる要因だ。

適度な運動を
そこで、生活習慣の見直しが再発防止に重要になってくる。
まずは食事。塩分や脂肪分の取り過ぎに注意し、野菜や果物をなるべくとるようにする。
肥満の人も規則正しくバランスのとれた食生活を目指せば、カロリー過多にならないようにできるはずだ。

アルコール摂取もほどほどに抑え、こまめに水分をとることを心掛けたい。
また、たばこを吸っている人はすぐやめる。
適度な運動も欠かさないようにする。
ただ、炎天下でゴルフなどをすると、脱水状態になり脳梗塞を起こしやすくなる。
水分補給に気をつけよう。

生活習慣の改善のほかに、下地となる病気の治療、薬物療法、手術も再発防止に有効だ。
脳卒中を発症した人には糖尿病や脂質異常症などを持っている場合が多い。
これらをしっかり治療すれば、脳卒中が再発するリスクを下げられる。

脳卒中薬物療法は、血小板の働きを抑える薬や血液を固まりにくくする薬を飲む。
血栓は血小板が集まってできる。
また心臓にできる血栓は血液中の凝固因子が関係しているからだ。

薬物治療で十分な効果が得られない場合は、血管にステント(細い金網)を入れて広げる手術などを実施する例もある。
定期検査を受けることを忘れないようにしたい。
血圧を制御すれば4割、薬を適切に服用すれば7割近くの再発を防げる。

脳卒中の予防と医療体制充実に向け、基本法を作る動きもある。

脳卒中予防に気を付けていても、残念ながら再発してしまう人はいる。
体の左右どちらかに力が入らない」「しびれる」「ろれつが回らない」など特有の症状が起きたら、一刻も早く病院で治療を受けることが大事だ。

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参考
日経新聞・夕刊 2014.4.25