脂肪肝の改善には運動を

脂肪肝の改善、1日30分以上の早歩きで

食べ過ぎなどによる脂肪肝は、早歩き程度の少し強めの運動を毎日30分以上続けると改善する、との研究結果を筑波大の研究チームが発表した。

改善が期待できるのは、過度の飲酒が原因ではない非アルコール性脂肪性肝疾患。
体重は減らなくても効果があるという。

研究チームは、2009~13年に、食事・運動療法に参加した31~67歳の肥満男性169人の身体活動状況を、測定器を使って記録。
エネルギー消費量が安静時の3倍以上となる「中高強度の運動」に取り組んだ時間別にグループ分けして、脂肪肝の改善状況を比較した。
 
運動時間が長いほど、内臓脂肪面積や血中の中性脂肪濃度などが減少。
特に週250分以上の運動をしたグループは、肝臓の炎症を防ぐ物質や善玉コレステロールが増え、細胞を傷つける物質は減っていた。
血液の遺伝子解析でも、肝臓の脂肪蓄積を抑える働きが活発になっていることが分かったという。


<私的コメント>
記事の中では「非アルコール性脂肪性肝疾患」と書かれていますが、これはNAFLDとも言われます。
一方、非アルコール性脂肪性肝炎はNASHとも呼ばれ両者は別の病態とされています。
肝細胞に脂肪(中性脂肪)が沈着して肝障害を引き起こす病態を脂肪性肝疾患と言います。
肝臓の組織で、脂肪滴を伴う肝細胞が30%以上認められる場合を脂肪肝といいます。
飲酒歴はないがアルコール性肝障害に類似した脂肪性肝障害がみられる病態をまとめて非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼びます。
成人の8%程度はNAFLDであると言われています。
NAFLDは肝細胞に脂肪が沈着するのみの単純性脂肪肝と、脂肪沈着とともに炎症や線維化がおこる脂肪性肝炎に大別されます。
この肝臓の脂肪化に伴い炎症を起こし線維化が進行する病態は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼ばれ、肝硬変に至り、肝細胞癌を引き起こす可能性があります。
成人の約1%程度がNASHであると考えられています。 
NASHでは発癌を考慮した、採血・腹部画像検査による定期的な経過観察が必要です。