人間ドック

人間ドック活用のコツ 病気を予防・早期発見 定期受診 オプションも検討

多数の検査を一度に受けられる人間ドックは便利だが、効果的な受け方がわからず迷う人も多い。
専門家によると、定期的な受診や医師などから対面で結果の説明を受けることなどが重要だ。
家族に病歴などがある場合は、オプション検査も使うとよい。
上手に活用し、病気の早期発見と予防に役立てたい。

日本人間ドック学会は血液検査や肺などの画像検査、尿検査など40項目以上を挙げている。
受ける主な目的は日本人の死亡率上位のがんの早期発見や、脳卒中心筋梗塞などの心疾患の予防だ。

定期的に受診することで元気なときの自分の基準値がわかる。
病気の予防には自分の数値の傾向を把握する必要があるため、毎年受診して結果を保存しておくとよい。

■医師の指導が重要
受診にはいくつかコツがある。
料理に例えると医師が対面で説明や指導をすることが人間ドックの主菜。
検査は前菜。
検査結果の数値に一喜一憂しても意味がなく、医師の指導がないと受診の効果が薄れてしまうので、十分な説明が期待できる医療機関を選びたい。
結果によって「要再検査」「要経過観察」などとされるが、総合的に判断した医師の指示に従おう。

もうひとつは、「検査のためだけに節制しない」こと。
血糖値やアルコール関連の数値は少し気をつけるだけで結果が良くなってしまう傾向がある。
いつも通りの生活習慣の中で検査を受けて、自分の状態を正しくとらえられるようにしよう。

最近、増えているのがオプション検査。
家族にがんなどの病歴があったり、飲酒や喫煙習慣があったりする人は、発症リスクが高くなる可能性があるため、受診を考えてみるとよい。

採血をしてさまざまながんの血液内の目印(マーカー)となる物質を調べるがんマーカー検査がある。
前立腺がんの「PSA」、膵臓がんなどの「CA19―9」などが代表。
前立腺がんの「PSA」は比較的信頼性が高いといわれる。
がんマーカーの中にはがんでなくても数値が上がったり、がんでも低かったりすることがある。
「要再検査」などの結果だったら、落ち込まず精密検査を受けよう。

女性は乳がんや子宮頸がん、卵巣がんの検査を考えよう。
マンモグラフィーや超音波検査、子宮頸部の細胞診などで調べる。
これらのがんはほかのがんと違い、20代から発症するため注意が必要となる。
40歳までは5年に1度は受けた方がよく、家族が発症した人などは毎年の検査を心がける。

オプション検査でマンモグラフィーなどの画像検査を受ける場合、医療機関によって設備に差がある。
CTなどは世代交代が進んでおり、解像度で10倍以上違う場合もある。
よい。

オプション検査では1度受ければ十分なものもある。
例えば、胃がんの原因のひとつであるピロリ菌検査。
感染者は60代以上の人がほとんどのため、一度検査してウイルスがなければ安心だ。
私的コメント;
文脈からウイルスではなく菌。

肝炎ウイルスは血液を経て感染するので、医療従事者などを除いて何度も受ける必要はない。

■健康への投資に
脳卒中などの予防には脳ドックを使う手もある。
肥満や高血圧、糖尿病などのリスク要因があれば3年に1回、なければ5年に1回の受診が目安となる。
自覚症状のない脳梗塞や未破裂動脈瘤などを見つけられる可能性がある。
頸動脈の動脈硬化の超音波検査もセットで調べることが多く、現状や今後の把握に役立つ。

人間ドックはすべての病気を早期発見できるわけではない。
「忙しい」「高額」などの理由で受けない人も多い。
ただ自分の体の状態を定期的に詳しく把握する機会は必要で、健康への投資として活用するとよい。
私的コメント;
「高額」という言葉で思い出したことがあります。
ある日のこと、日本の最高学府たる某大学の医師の紹介状を携えた会社社長が来院されました。
入会費も年会費も目の玉が飛び出るような高額な費用を要する会員制の人間ドックのものでした。
PETや腫瘍マーカーが項目に入っているため一見して高いのは分かるのですが余りにも非常識な検査内容です。
紹介状に書かれていたのは「腫瘍マーカーの⚪︎⚪︎が正常範囲を少し超えています。しばらく胃の検査がやられていないようですので貴医療機関で検査をお願いする次第です」という文面。
思わず「はあ?」という言葉が口から発しました。
それだけの費用をとっておきながらバリウム検査も胃カメラも検査項目に入っていないのです。
いささか腹立たしく感じたのでドクターを検索してみました。
検索した肩書きは「⚪︎⚪︎大学循環器大学院生」。
十分臨床知識もない同じ敷地内の大学院生が「小銭稼ぎ」のために結果の説明をやっていることが分かりました。
もう一つ。
こういった高額な検診でも「運動負荷心電図」は項目に含まれていません。
虚血性心臓病の診断には不可欠な検査であり、普通の心電図だけでは虚血性心臓病は見逃されてしまいます。
どうしておこなわれないのでしょうか。
それは医師の立会いが必要でコストがかかるからです。
そして一定のリスクもあるからです。
紹介状を書いた医師が循環器専門医だったのは皮肉なことでした。
(私自身、循環器専門医ということで少し意見を言わせていただきました)



◆人間ドックを手掛ける施設を知りたい
 日本人間ドック学会の会員施設一覧
http://www.ningen-dock.jp/list/facility.php

私的コメント;
この「日本人間ドック学会」は、昨年血圧やコレステロールの正常値を「独自に」発表し、ある意味でセンセーションを起こしました。
もし正しいということなら早速正常値を変更しなければなりません。
逆に、変更しなければ世間を騒がせた「お詫び」の声明を出すべきです。