中高生で増えるコンタクトレンズ

使用法守りトラブル防ぐ 中高生で増えるコンタクトレンズ

中高生を中心に、コンタクトレンズ(CL)を使う子どもが増えている。
眼鏡よりも視野が広く、見た目もよいといった利点が魅力だが、使い方を誤ると目のトラブルを引き起こしかねない。

   □   □

日本眼科医会が3年ごとに調査している「学校現場でのコンタクトレンズ使用状況」によると、2012年度の使用者の割合は、高校生が27・7%、中学生が7・3%、小学生が0・2%だった。
中高生の割合は調査ごとに増えていた。
 
眼鏡では矯正しにくい「強い乱視」や左右の度数の差が大きい「不同視弱視」などの子どもには、医学的な観点からCLを処方することがある。
しかし、中高生の場合、見た目のよさや眼鏡よりスポーツがしやすいなどの理由で、進学を機に使い始めることが多いといわれる。
 
ただ同調査では、CLによる目のトラブルが多いこともわかった。
「治療を受けて治った病名(複数回答)」をみると、中高生ともに「アレルギー性結膜炎」が4割に上った。
「角膜の傷」も2~3割で、注意が必要だ。
重い視力障害につながりかねない「角膜潰瘍・角膜炎」に進んでいた例もある。
 
角膜には血管がなく、空気中から涙に溶け込んだ酸素を使って呼吸している。
CLを使うと角膜が酸素不足になる。
最近のレンズは酸素を透過させる性能が上がっているとはいえ、決められた時間や期間を超えて使うと、角膜が傷つきやすくなり、充血や感染症などのトラブルを招きやすい。
 
また、レンズの洗浄が不十分だと、細菌が繁殖したり、汚れがついたままになったりする。汚れたCLは、感染症や汚れ成分に対するアレルギー反応などの原因になる。
    
   □   □
 
現代の子どもたちはパソコンやスマートフォン、ゲームなどに集中する時間が長く、ドライアイになりやすい。
気付かないうちに角膜や結膜の病気になって重症化する場合もある。
 
特にソフトCLは、トラブルに対する自覚がないまま悪化しやすい。
 
CLを使うときは、専門の眼科医の検査を定期的に受けることが大切だ。
しかし、「検査を受けるのは最初だけ」という中高生も多い。
また、瞳の色を変えたり、大きく見せたりできる「カラーCL」の大半は、眼科医の処方を経ずにネットで購入されているのが現状だ。
 
今は問題がなくても、CLを長期間使うことで将来、角膜障害が生じる恐れがある。
親も子もCLのリスクを正しく理解し、使う場合には、3カ月ごとの定期検査が必須だ。

イメージ 1


関連サイト
日本学校保健会発行「学校生活とコンタクトレンズ
http://www.gakkohoken.jp/book/pdf/0102.pdf
(CLの種類や手入れの仕方、主な目のトラブルについて解説)

コンタクトレンズにご注意」
http://www.utsumieyeclinic.jp/
(トラブル予防策について解説)

出典
朝日新聞・朝刊 2015.5.2