副鼻腔炎

副鼻腔炎に手ごわい型 増える患者 抗菌薬、効きにくく

鼻の奥にうみがたまって、鼻づまりや嗅覚障害につながる副鼻腔炎
粘り気が強いうみが出て、治りにくいタイプが国内で広がっている。
中等症以上は、今年(2015年)7月から難病として助成の対象になった。
的確に診断するための指針ができ、症状を抑えて再発を防ぐ治療の研究も進む。

鼻腔の周りには、上顎洞など鼻の奥でつながる左右4対の空洞があり、これらは副鼻腔と呼ばれる。
好酸球副鼻腔炎は、副鼻腔の粘膜が炎症を起こし、患部周辺に好酸球がたまる状態になる。
発症するのはほとんどが大人で、再発を繰り返しやすい。
国内の患者は約2万人と推定され、厚生労働省は、中等症以上を難病として医療費の助成対象にした。

副鼻腔に粘り気が強いうみがたまったり、「鼻たけ」と呼ばれる粘膜の腫れができたりして鼻づまりや嗅覚障害を起こす。

参考
鼻茸(はなたけ)
http://health.goo.ne.jp/medical/10C20800

ズズッ!あなたの鼻水に潜む まさかの現代病
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20131106.html


国内では、「好中球」という別の白血球が鼻粘膜に多くなるタイプが多いとされてきた。
このタイプは抗菌薬が有効だが、好酸球の場合、抗菌薬ではうみをなくす効果がない。
治療は内視鏡手術で鼻たけをとるなどして通気性をよくし、ステロイド剤を飲んで炎症を抑える方法が一般的だ。

霧状のステロイド剤を口から吸って鼻から出すと、副鼻腔の奥にある部分に薬が届きやすいことが実験で確かめられている。

寝る前に、食塩水で鼻を洗う方法もある。

診断・治療、研究進む
ある大学で1960年代以降、鼻たけの組織を調べたところ、2000年以降、好酸球の数が増えているという結果が出た。
好酸球副鼻腔炎の患者は近年、国内で急速に増えていると言う。

私的コメント;
2000年以降に増加しているのは「好酸球副鼻腔炎」の概念が普及し、そのために診断がされやすくなった可能性があります。
こういった統計を見る場合にはそういった見方も必要です。
(2001年に提唱された概念のようです)





背景には、衛生状態が良くなり細菌に感染する機会が減っていることや、ぜんそく治療でステロイド剤の効果が全身に及ぶ飲み薬が使われる機会が減り、体内で好酸球が増えやすくなったことなどがあるという。

鼻たけの一部をとって組織を調べなくても、血液中の好酸球の数やCT画像の評価などから診断できる。
さらに、解熱鎮痛剤アスピリンを飲むと、ぜんそく発作などを起こす「アスピリンぜんそく」の有無などから重症度も判定可能だ。
好酸球副鼻腔炎は、ぜんそくなどの全身に影響が出る病気の一部と考えられる。

好酸球の細胞が死滅する際に、細胞内部のDNAが、網状になることも発見されている。
この網がうみの強い粘り気につながっていた。

この実験では、網を分解する酵素を使うと粘り気が少なくなったという。
酵素を薬として使えば、新しい治療法につなげられるかも知れない、と期待されている。

出典
朝日新聞・朝刊 2015.10.27(一部改変)