「乾癬」に希望の薬

「乾癬」新薬 効果に期待 皮膚の炎症抑える生物学的製剤

皮膚が盛り上がって赤く腫れ、はがれ落ちる「乾癬」。
完治が難しく、長期間の治療が必要だが、炎症を起こす物質の働きを抑える「生物学的製剤」が数年前に登場。
症状が大きく改善する例が出てきた。
患者同士で情報を共有し、心の負担を減らそうとする活動も続けられている。

重症者に「希望の薬」
乾癬は、赤い発疹が頭や腰、爪などにでき、表面に鱗屑が付着するのが特徴だ。
通常の約10倍の早さで表皮が作られ、正常な角質層が作られないうちにはがれ落ちる。患者の1割では関節痛や発熱などを伴う。
体を守る免疫の異常で、炎症を起こす物質が増えることが発症に関わっていると考えられる。
国内の推定患者数は10万~20万人。
 
治療では、炎症を抑えるステロイドや皮膚の増殖を抑えるビタミンD3の塗り薬が中心だ。
紫外線を照射して皮膚の過剰な免疫作用を抑える治療のほか、免疫抑制剤を使うこともある。

関節リウマチの治療薬として承認されていたヒュミラ(一般名アダリムマブ)だ。
 
ヒュミラは生物学的製剤の一種。
生物の免疫細胞から作られた抗体が、炎症を起こす物質にくっついて炎症を抑える。
従来の治療では十分な効果がない乾癬に対して2010年以降、4つの製剤が保険適用されているが、自己負担は月数万円程度に上る。
 
免疫の働きを抑えるため、副作用として結核などの感染症にかかりやすくなる。
そのため皮膚科の専門医が常勤し、副作用に対応できる体制を整えていることなどを条件に、日本皮膚科学会が薬の使える施設を承認している。
現在、全国に551施設ある。
全員に効くわけではないが、重症患者には希望となる薬だ。

誤解・かゆみ 心身に負担
生物学的製剤が登場しても、多くの患者にとって心身への負担は依然として大きい。
 
通常は毎朝と夜、体にできた発疹にステロイドなどの塗り薬を30分~1時間かけて塗る必要がある。
 
強いかゆみに加え、誤解を受け、つらい思いをすることも少なくない。
「東京乾癬の会」が13年、患者172人を対象にした調査では、約6割が「銭湯や温泉で入浴を断られた」「鱗屑をフケと勘違いされ汚いと言われた」などと答えた。
 
患者のQOL(生活の質)を国際的な算定方法で測ると、痛みや疲れなどの身体的な負担は心筋梗塞や糖尿病とほぼ同じ、精神的な負担はがんより大きいという調査結果もある。
 
治療への意欲を失い、引きこもりなどにつながることもあるが、最近では1日1回塗れば済む配合薬が登場するなど、負担を減らせるようになってきている。
 
日本乾癬患者連合会のもとにある全国20の患者会では、定期的に勉強会を開いて最新の治療法や生活の注意点などを伝えている。

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出典
朝日新聞・朝刊 2015.12.8(一部改変)


<乾癬・関連サイト>
日本皮膚科学会 生物学的製剤承認施設一覧
https://www.dermatol.or.jp/modules/biologics/index.php?content_id=1

乾癬における生物学的製剤の使用指針および安全対策マニュアル
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/news/1309834922_1.pdf


生物学的製剤治療の今
http://ksclinic.exblog.jp/19174734

関東労災病院 皮膚科
http://www.kantoh.rofuku.go.jp/shinryoka/tabid/222/Default.aspx
・軽症例では主としてビタミンD3軟膏(オキサロール軟膏)の外用療法を行います。
また、皮疹が体表面積の10%以上を占めるような重症例では、本人が承諾し事前スクリーニング検査で問題のない場合はレミケード点滴・ヒュミラ・ステラーラ・コセンティクス局注といった最新の抗体医薬による治療を日本皮膚科学会ガイドラインに準拠して実施しています。
・抗体医薬は治療開始より3ヶ月で皮疹の80%以上がなくなるといった驚異的な効果がありますが入院で点滴するレミケードの方が効果の発現はやや早いといった特徴があります。

乾癬ってこんな病気
http://www.maruho.co.jp/kanja/kansen/basic/
・国内の患者数は10万人(1000人に1人)以上といわれています。
男女比は2対1で男性に多く、乳幼児から高齢者まで年齢層は幅広いですが、男性では30代、女性では10代および50代での発症が多いようです。
・乾癬は症状によって次の5つに分類されます。
①尋常性乾癬:全体の9割を占めます
②滴状乾癬
③乾癬性紅皮症
④膿疱性乾癬
⑤関節症性乾癬
私的コメント
乾癬の種類
http://www.kansen.info/shirou/learn-04.html
が参考になります。


乾癬
http://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=../general/sick/psoriasis.html
(私的コメント;クリック出来ないためアドレスをコピペして検索願います)




重症乾癬、関節症性乾癬
http://www.cosentyx.jp/p_patient/index.html


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    住宅展示場にて 2015.12.30 撮影