食物アレルギー

自己判断せず、正しい診断を

アレルゲンで代表的なものは卵、牛乳、小麦で、小学生以上ではエビなどの甲殻類や果物も多くなる。
また乳幼児期に発症した場合は年を重ねると治る傾向がある。
このような年齢別の特徴を考慮しながら、何を食べて何分後に症状が出たか、どのくらいで治まったかなどの詳しい聞き取りでアレルゲンを予想する。

それを確認するための検査として一般的によく行われるのが血液を使った特異的IgE測定だが、陽性反応があった食物を実際に食べてもアレルギー症状を引き起こさない場合もあり、その結果だけで食物アレルギーを正しく診断することはできない。

皮膚の上に食物のエキスを置いて、それを薄皮一枚下に浸透させてじんま疹が出現するかをみるスキンプリックテストという検査もある。
痛みがほとんど無く短時間で済むため子どもに優しく、診断にとても有用だ。

診断に最も重要な検査は、アレルゲンの食物を実際に食べてみる食物経口負荷試験だ。
予想した食物がアレルゲンかどうか、以前にアレルゲンであったものがもう食べても大丈夫になったかどうかを確認できる。
最初はごく少量から始めて、その後一定の時間間隔で徐々に増量して食べる。
検査の過程でアレルギー症状が出てしまうかもしれないので病院内で行われ、症状の有無をこまめに観察し、いつでも治療ができる準備を整えて、医療スタッフが常に見守りながら進める。

また仮性アレルゲンといって、魚や野菜、果物に元々ある自然の物質で、食べると誰でも食物アレルギーと同様な症状を起こすものもある。
自己判断ではなく病院での正しい診断が大切だ。

出典
朝日新聞・夕刊 2016.2.20(一部改変)


必要最小限の食物除去目指す

以前は食物アレルギーとはっきり診断された、あるいはその疑いが強いとされた場合には、その食べ物は「今後少しも食べてはいけません」とだけ言われることが多かったが、最近は「この程度までは症状が出ないので食べてみましょう」と必要最小限の食物除去を目指すようになった。

もちろん、少し食べただけで強いアレルギー症状を起こす時にはアレルゲンを全く口にしない完全除去を行う必要がある。
一方で、食べ物によっては年齢を重ねると症状が出にくくなることや、少量やある程度の量まで食べても大丈夫な場合があること、加熱など調理方法によっては食べられることなどが分かっている。
同じ食物アレルギーでも出る症状には個人差があるので、原因の食物を除去する程度は人それぞれだ。
アレルゲンでも少量なら食べられることが分かれば、食生活はその分改善される。
除去の程度は食物経口負荷試験の結果などを参考にして決めていく。

なお、学校などの給食ではその食物を無制限に食べても症状が出ないことがはっきりするまでは除去を続けることが基本だ。
複数の人に提供される食事では、こまめな対応がかえって誤食を招く危険があるので、シンプルに完全除去か完全解除の二者択一の方が安心・安全と考えられている。

残念ながら食物アレルギーを根本的に治す薬はないが、症状が出た場合の治療薬はある。
よく処方される抗ヒスタミン薬は主に皮膚の症状を軽減させる。
複数の症状が起こるアナフィラキシーには抗ヒスタミン薬では不十分であり、アドレナリン自己注射薬が必要だ。
本人や周りの大人が使う注射で、その使用方法を医師からしっかり説明を受けて理解していただくことで、重いアレルギー症状から命を守ることができry。

出典
朝日新聞・夕刊 2016.2.27(一部改変)


<関連サイト>
増える果物アレルギー
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/42414423.html


給食アレルギー事故防げ
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/42352696.html

大人の食物アレルギー増加
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/42302339.html