ダニ抽出物を飲む治療「舌下免疫療法」

喘息にも有望…ダニ抽出物を飲む治療「舌下免疫療法」 欧州13カ国の患者800人で検証

最近、アレルギーの新しい治療法として舌下免疫療法が注目されている。
アレルギーの原因となるものを少しずつ飲むことによって体質を徐々に変えていくという治療法だ。
わが国では一昨年にスギ花粉、昨年にはダニ(ハウスダスト)の抽出物が含まれた舌下免疫療法の治療薬が保険適用された。
このうちダニの舌下免疫療法は、今のところダニが原因の鼻炎を治療する目的でのみ受けることができるが、鼻炎患者だけでなく喘息患者にも効果がある可能性が欧州13カ国で実施された研究で示された。
最近、ドイツの研究グループが、ダニ舌下免疫療法を受けた喘息患者は、吸入ステロイドによる治療を中断しても、喘息の症状が悪化しにくくなったという研究成果を発表した。

喘息患者2人に1人がダニアレルギー
喘息患者のほぼ2人に1人はダニアレルギーだとされており、ダニアレルギーがあると喘息の症状が悪化しやすいことも分かっている。

今回の研究では、欧州13カ国の病院で治療を受けている鼻炎もある大人の喘息患者834人(平均33歳)に吸入ステロイドや気管支拡張薬などの喘息の一般的な治療薬に加えてダニの抽出物を含む錠剤(ダニ舌下錠)またはプラセボ(偽薬)を毎日1錠ずつ飲んでもらった。

治療期間は7~12カ月で、後半3カ月間には吸入ステロイドを半量に減らし、その後3カ月間は吸入ステロイドなしとした。
その結果、ダニ舌下錠を飲んでいた患者では、プラセボを飲んでいた患者に比べて吸入ステロイドを減らした後に喘息の症状が悪化する危険性が低下していたという。

ダニは喘息の最大の原因。
また、喘息患者の多くは吸入ステロイドなどの治療で症状をうまくコントロールできるが、コントロールが難しい患者も一定の割合で存在する。
そうしたコントロール不良の喘息患者にも今回の研究ではダニ舌下錠が有効な可能性が示された。
ただし、より長期間この治療を続けた場合の有効性や安全性について、今後さらなる研究で検証する必要がある。

出典
読売新聞・朝刊 2016.1.19