心房細動、治療の選択肢広がる

心房細動、治療の選択肢広がる

不整脈の一種、心房細動は、動悸などを感じて生活に支障が出るだけでなく、脳梗塞が起こりやすくなる。近年、心臓の中に入れて治す新しい器具の開発が進み、治療の選択肢が広がっている。

冷やして原因の信号を遮断
冷凍アブレーションは、心臓内の左心房につながっている4本の肺静脈の付け根部分まで細い管を入れ、冷却剤を送って先端部にある小さな風船を膨らませ、風船に接した部分の組織を冷凍する。
肺静脈の付け根部分は心房細動の引き金になる異常な電気信号が発生する場所で、この組織を零下40~50度で壊死させる。
 
肺静脈と左心房の間の異常な電気信号の経路を断てば心房細動が起きなくなる。
 
日本で冷凍アブレーション治療を受けた患者約700人を対象にした市販後の調査で、そのうち約300人を6カ月間追跡したところ、89%の人が心房細動を起こさなかった。
この調査により、有効性や安全性は確認された。
 
心房細動は年齢が高くなるほどなりやすい。
日本循環器学会の調査では、70代は男性の3%、女性の1%、80歳以上は男性の4%、女性の2%がこの病気を抱えているという。
 
心房細動は主に、長く続かない「発作性」と、ずっと続く「持続性」がある。
冷凍アブレーション治療で保険の対象になるのは発作性に限られる。
また、肺静脈の付け根の形には個人差があり、器具がうまく合わない場合もある。

加熱する方式も
心房細動のカテーテル治療では、加熱方式もある。
 
「高周波アブレーション」という治療法は、管の先端の電極に高周波電流を流して加熱し、点線状に心臓の組織を「やけど」させ、異常な電気信号の経路を断つ。
 
今年4月、欧州の病院で冷凍方式と高周波方式を比較した臨床研究の結果が米医学誌に発表された。
762人の患者をほぼ均等に分け、どちらかの治療をした。
平均1年半後まで調べたところ、効果や安全性に大きな差はなかった。
 
さらに、新しい治療法として今年4月から保険適用になったのは「ホットバルーン」。
管の先につけた風船を表面温度60~65度程度に温める。
 
この治療法を開発した葉山ハートセンター(神奈川県葉山町)の佐竹修太郎・副院長は「風船に柔軟性があることと、表面を均一の温度で温めることができ、接触組織を熱伝導によって加温することが特長。治療効果と安全性を高められます」と話す。
 
冷凍方式では風船が固くなるのに対し、温める風船は柔らかくて、肺動脈の形に応じて変形する。
それぞれの患者の個人差に合わせて治療できる。
点線状に加熱する高周波方式に比べても、均一に適度な加熱温度を保つことができるという。

 
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出典
朝日新聞・朝刊 2016.5.25