今年から市販OTC薬も年1.2万円超で控除対象

今年から市販OTC薬も年1.2万円超で控除対象に

近所のドラッグストアで風邪薬を購入したら、友人が「額がそんなに多くなくても医療費控除できるようになったから、レシートはとっておいた方がいいよ」とアドバイスしてくれました。
医療費控除の仕組みが変わったのですか?

 
これまでの医療費控除の制度はそのままに新たな特例が加わった。「セルフメディケーション(自主服薬)税制」などと呼ばれる。
2016年度の税制改正に盛り込まれ、17年1月から正式にスタートした。

従来の医療費控除は年間の医療費が10万円(総所得が200万円未満の人は総所得の5%)超とハードルが高かったが、特例では対象となる医薬品の合計金額が年間で1万2000円を超えれば適用される。
超えた分の金額(上限は8万8000円)を控除できる。

「軽度な体の不調については自宅で市販薬を服用して自ら治療する『セルフメディケーション』を推進する」(厚生労働省)のが導入の趣旨。
膨らみ続ける国の医療費負担を抑える手立てのひとつといえる。

特例の実施は21年12月末までの5年間。
従来の医療費控除より金額が大きく下がり、手軽さが増す。
病院に行くのが面倒で市販の医薬品で対応しているという人も利用できるかもしれない。
自分だけでなく、生計をともにする配偶者や家族の分も合算できる。

対象となるのは「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる医療用から転用された医薬品だ。
風邪薬や胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛の貼付薬など品目数は1500を超え、薬局で扱う商品の多くを占める。
該当するのは医薬品のみで、購入の際に利用した交通費などを含めることはできない。

厚労省の資料では、対象医薬品を2万円購入した場合を例に挙げている。
基準となる1万2000円を上回った8000円分が課税所得から控除され、減税額は所得税(税率20%)で1600円、個人住民税(同10%)800円の計2400円と説明する。
1万2000円を超えた金額が丸々戻ってくるわけではない。

特例を使った確定申告は来年からになる。
今年1~12月に購入する対象医薬品のレシートや領収書は保管しておく必要があるので注意しよう。
それ以前のレシート類は使えない。

確定申告の際には「健康の維持増進や疾病の予防に一定の取り組みをしている」という証明書類も必要だ。会社の定期健康診断や市町村のがん検診、メタボ健診などを受けていれば、その結果通知表(コピー可)を提出する。
予防接種の領収書でもよく、インフルエンザの予防接種などは身近な例だろう。
証明書類は申告する人の分だけでよい。

今回の特例と従来の医療費控除を同時に利用することはできない。
両方使えるケースでは、確定申告する人がどちらかを選ぶことになる。

 
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参考
日経新聞・朝刊 2017.1.11