脳の疲労 要注意

脳の疲労 要注意 交感神経酷使、響く

仕事や生活上の疲れがなかなか取れないという人が多い。
疲労の原因は脳の神経細胞にダメージが蓄積するためであることが国内の研究でわかってきた。
疲労のメカニズムや、上手な睡眠の取り方など疲労との付き合い方は・・・。

なぜ疲れるのか。
長く言われていたのが「乳酸原因説」だ。
運動すると筋肉中に増える乳酸が疲労の原因という見方だが、この説は10年ほど前に否定された。
今では乳酸は筋肉の活動を促進する有用な成分と考えられている。
 
これに代わるのが「脳原因説」。
臓器の働きを調節し、体のバランスを維持する自律神経を酷使した結果が疲労だと考えられている。
大阪市大阪市立大学、食品・医薬品メーカーなどが進めている疲労に関する共同研究「疲労プロジェクト」などにより、そのメカニズムが解明された。
 
自律神経系は活動時に活発になる交感神経と、夜間や安静時に活発になる副交感神経がセットになっている。
運動時には体温や心拍の調整をするため交感神経が活発に働く。
すると神経細胞内に活性酸素が大量に発生し細胞にダメージを与える。これが疲労の原因だという。
 
同じゴルフコースを回っても、暑い日と涼しい日では疲れ方が全く違います。
暑いと体温調節などに交感神経を酷使するので疲労が増すのです」
 
運動による疲労のほか、長時間のデスクワークなどによる精神作業疲労や、目の眼精疲労がある。
事務作業に集中しているときは、やはり交感神経が活発に働く。
また、パソコン画面など近距離を見続けると、自律神経のバランスが崩れやすくなるという。
 
ただし、実際の疲労の度合いと、自分で感じる疲労感の間にはズレがあることが、疲労を把握しにくくしている。
疲労感をもたらすのは「疲労因子」と呼ばれるたんぱく質だ。
自律神経などの細胞が活性酸素によって酸化されてダメージを受けると、老廃物の増加が合図となって疲労因子が発生する。
その情報が大脳に伝わって疲労感を生む。
 
だが人間は、脳の働きでこのアラームを感じなくしてしまうことがある。
仕事や運動への意欲や達成感が強いと、疲労感を感じなくなってしまう。
これは「隠れ疲労」と呼ばれている。
専門家は「過労死になってしまう人は、疲労感を感じなくなっている場合が多い」と、隠れ疲労の危険性に警鐘を鳴らす。

 
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参考・引用
日経新聞・夕刊 2017.3.9