本態性振戦

手がふるえる

原因は様々、自己判断は禁物
手がふるえて、うまく宇が書けない。
お茶を出すとき、ついこぼしてしまう。
ほかに病気がないのに、緊張したときや人前で何かするときに手や声の「ふるえ」がひどくなる。
そんな症状に悩まされている人は少なくない。
 
医学的には「本態性振戦」と呼ぶ。
原因不明のふるえという意味で、ほかの症状はまったくない。
脳の運動をつかさどる機能の何らかの異常と考えられているが、よくわかっていない。
日本神経治療学会によると、65歳以上の5~14%と高齢者に多いが、20代で発症する場合もある。
 
コップを持ったときや、字を書くときなど、重力に逆らう動作をしたり、特定の姿勢を維持したりするときに、自分の意思と無関係に小刻みにふるえが生じる。
ひどくなると、字が大きく乱れ、食べ物を口に運べなくなるなど、日常の動作が困難になる場合もある。
 
緊張によって手や声がふるえるといっても、心因性の病気ではない。
緊張しやすいのではなく、ふるえやすい体質だということ。
ふるえがひどいとプレッシャーに弱いと見られがちだが、精神面を鍛えれば治るというものではない。

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ふるえが気になり出したら、まずは似た症状がある別の病気でないかを見極める必要がある。
パーキンソン病の場合は、安静時に手足がふるえるのが特徴で、歩行困難や運動障害などを伴うことが多い。
バセドウ病脳梗塞脳出血 などでも、ふるえが出る場合がある。
字を書くときや楽器を弾くときだけ手がこわばる書痙や局所性ジストニアという病気もある。
 
ぜんそくなどの薬の副作用でふるえが出ることもある。
ふるえにはあらゆる原因があり、自己判断は禁物。
おかしいと恩ったら医療機関を受診したい。

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本態性振戦と診断されれば、日常生活にどれだけ支障があるかを基準に治療するかどうかを決める。
ふるえの程度にも個人差があり、生活に困らないなら治療の必要はない。
仕事や生活に影響が出ている場合は、交感神経遮断薬などの薬でふるえをコントロール
ることが可能だという。

仕事で人前に出る機会が増えたために支障を感じるようになったり、一度ふるえた経験からくる不安でふるえが増したりすることもある。
薬はこうした不安への安心材料にもなる。
ほかにも、ふるえをコントロールする手段は色々ある。
コップに入れる量を少なめにしてこぼれにくくするなど、自分でできる工夫もある。
 
医師と相談しながら自分なりの対処法を見つけ、うまく付き合っていくことが大切だ。  


もしかして本願性振戦?
① ふるえ以外の症状がまったくない
② 字を書いたりコップを持ったりすると手がふるえる
③ お酒を飲んでいるときはふるえが軽くなる
④ 人前に出て緊張するとふるえがひどくなる
⑤ 首がふるえていると言われたことがある
⑥ 「前へならえ」の姿勢をすると両手が小刻みにふるえる
⑦ 家族や親戚に本態性振戦がある


① ふるえ以外の症状がないことが大前提です。一見すると本態性振戦とは見分けがつきにくい病気もあるの
で、正しい診断が必要です。
② 箸を持ったり、ボタンを留めたりするときに手がふるえることもあります。
③ アルコールを飲むとふるえが軽くなることがあります。アルコール依存症と間違われることもありますが、
本態性振戦とは全く関係ありません。
④ リラックスしているときはふるえないのに人前に出るとふるえがひどくなることがあります。
⑤、⑥ のように自分の意思に反して頭や両手が小刻みにふるえることがあります。
⑦ 本態性振戦の約5削は家族にもあると言われています。いずれも気になる場合は神経内科を受診して下さい

参考・引用
朝日新聞 夕刊 2014.3.3


<関連サイト>
本態性振戦
http://www.miwaclinic.net/EssTremor.html



本態性振戦 - 日本臨床内科医会
http://www.japha.jp/test_100413/doc/byoki/series024n.pdf