「しびれ」の症状に隠れた病気?

= しびれの原因 隠れた病気? 「早めの受診を」 = 
しびれに悩む高齢者は少なくない。
しびれの原因は骨の変形から脳卒中までさまざまで、しびれている場所に原因があるとは限らない。
隠れた病気が見つかることもあり、医師は早めの受診を勧める。

骨の変形・脳卒中・・・早めに受診を
女性のAさん(75)は、ひざの内視鏡手術を受けた後、杖をついて歩いていた。
無理な姿勢が続いたせいか、首や肩の凝りや痛みが出て、右手の先がしびれだし、やがて左手もしびれるようになった。
いつもジンジンして力が入らず、家事はおろか、コーヒーカップを持つこともできなくなった。
3年前のことだ。
 
整形外科に行くと「頸椎症」と診断された。
加齢により、首の骨や、骨と骨の間でクッションの役割をする「椎間板」が変形して、神経が圧迫されて起きる。
女性の場合、背中を走る脊髄から分かれて腕へとつながる「神経根」の部分が圧迫され、肩の痛みだけでなく、手や指先にしびれが出ていると考えられた。
 
しびれの正体は神経の働きの異常だ。
手足の感覚を脳に伝える神経のどこかに異常があると、感覚がまひしたり、何も触れていないのにジンジンしたりする。
 
しびれの感じ方や表現はさまざまで、客観的な評価が難しい。
しびれを伴う病気は、糖尿病の合併症や神経を包むさやが壊れる多発性硬化症、筋肉を動かす神経が傷害されるギラン・バレー症候群など様々だ。
しびれている場所やその近くに原因があるとは限らない。
隠れている病気が見つかることもあるため、神経内科や整形外科へ早めに受診したい。
中でも、左右どちらかの手や口のまわりに急に強いしびれを感じる場合、脳の視床と呼ばれる部分の脳卒中が原因として疑われ、急を要する。
 
頸椎症と診断された女性は、過敏になった神経を鎮める薬を処方され、しびれは治まった。
完全に治ったわけではないが、日常生活に不自由はなくなったという。
閉じこもらず外出を心がけ、前向きな気持ちを保つようにしているという。

運動には注意 手術も
頸椎症のように神経の圧迫で起きるしびれは高齢者でしばしばみられる。
神経の異常がある部位によって、しびれを感じる場所も変わってくる。
 
手の指がしびれる病気として、「手根管症候群」が知られる。
手首付近で、靱帯と骨で挟まれた神経の通り道(手根管)が圧迫され、親指から薬指のしびれが出る。
手の仕事が多い人がなりやすい。
ひじの内側の神経が骨などで圧迫される「肘部管症候群」でも、薬指や小指にしびれが出る。
 
頸椎症で脊髄が圧迫される「頸椎症で脊髄が圧迫される「頸椎症性脊髄症」の場合、手や腕だけでなく、下半身にもしびれや痛みが出ることがある。
日常生活に困る場合は手術を検討する。
 
頸推症では、症状を和らげる薬や首を固定する装具を使い、首を安静にする。
装具を使うときは、転ばないように注意する。
痛みやしびれがひどくなる姿勢は避け、首に負担がかからない枕の高さに調節する。
  
腰痛や肩こりには筋肉の緊張をとり血液循環をよくする運動が効果的だが、神経の圧迫によるしびれに対して運動は勧められない。
症状が和らぐと感じるなら、軽く首や肩を回す程度の運動はよい。

おしりから足の後ろ側にしびれや痛みを感じる場合、「腰部脊柱管狭窄症」が疑われる。
 
しびれは左右どちらかの場合も両足の場合もある。
加齢による腰椎の変形やずれによって、神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、脊髄や神経根が圧迫されて起こる。
長時間歩いたり、立ち仕事を続けていたりするとしびれが出やすい。
 
腰部脊柱管狭窄症は、背筋をそらすと、痛みが増すため、前かがみになりがちだ。

痛くて動くのがおっくうになると、さらに症状が進行するので、腰をそらす姿勢を避けながら、軽い運動をした方がいい。
治療では、症状を和らげるため、過剰な神経活動を抑える薬や炎症を抑える薬などが使われる。
神経の圧迫が強く、日常生活に影響が大きい場合は、骨を削ったり、金具で固定したりする手術を検討することになる。

糖尿病が見つかる場合も
手袋や靴下で覆われる手足の先端部分にしびれや痛み、冷えがある場合、糖尿病で起きる神経障害が原因のことがある。
初期の糖尿病は自覚症状がなく、手足のしびれをきっかけに糖尿病が見つかる場合もあるという。
末梢神経の神経細胞内に糖がたくさん取り込まれ、神経細胞の働きに異常が起きると考えられている。
足のしびれを放っておくと、悪化して激痛やまひを起こし、足の壊疸の原因につながりかねない。
 
悪化した神経障害を治療するのは難しい。
食事や運動、薬で血糖コントロールをして、悪化しないようにする。
早期発見・治療、予防が重要だ。

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参考・引用
朝日新聞 2017.2.1