セカンドオピニオン 遠慮は無用

セカンドオピニオン 遠慮は無用

がんの治療方法を決める際に非常に重要な「セカンドオピニオン」に関して、患者約1000人、医師約500人を対象に2017年8月に行われたアンケート調査がある。
 
患者で実際にセカンドオピニオンを受けたのは約3割にとどまったが、受けた満足度は.96.2%に達した。
受けた理由は「複数の意見、判断を聞きたかったから」が42%と最多で「主治医の意見に納得がいかなかったから」が36.9%で続いた。
日常診療で医師に不信感を覚えたことがある患者は75.9%もおり、47.8%の患者がそれを理由に実際に医師を変更していた。
 
セカンドオピニオンが必要と思う患者は96.6%に上がった。
しかし、医師に尋ねると、この制度を広げていくべきだと答えたのは4割もいなかった。
 
患者に「主治医にセカンドオピニオンを受けたいと伝えることに、言いづらさを感じるか」と尋ねると、86.5%が「感じる」と答えた。
一方、セカンドオピニオン後に主治医の変更を申し出られて「不快な気持ちになった」と答えた医師は11.5%にとどまり、患者と医師の認識のギャップが浮き彫りになった。
 
セカンドオピニオンは全額自費で、保険が効かない。
今回の調査で患者に負担費用を尋ねると「5000円未満」が42.6%と最多で、次は「5000~1万円未満」だった。
 
「妥当な金額だと感じる」が43.9%と多く、受けた患者はある程度納得しているようだ。
 
ただ、セカンドオピニオン外来では1万円以上かかるのが普通だ。
東京大学病院の場合、費用は30分までは2万1600円。
30~60分か4万3200円だ。
今回の調査では、保険診療で他の医療機関にかかったケースもかなり含まれていると思われる。
 
厚生労働省が11年に行った調査でもセカンドオピニオンを受けた患者は約3割にすぎなかった。
受けなかった理由は「受けた方がいいのか判断できない」「どうすれば受けられるのかわからない」「主治医に受けたいと言いづらい」が上位3位だった。
 
セカンドオピニオンは患者の権利だ。
医師への遠慮は無用だ。

参考・引用
日経新聞 2015.10.11 ( がん社会を診る )
 東京大学病院・中川 恵一准教授