各国 がん、5年生存率分析

がん、5年生存率分析 71の国・地域、比較調査 日本、肺がん・食道がん高い傾向

世界71の国と地域のがん5年生存率を比較した結果を英ロンドン大や、日本の国立がん研究センターなどの国際研究グループがまとめた。
日本は肺がんと食道がんの生存率が最も高い一方、欧米と比べて血液がんでは低かった。
成果は英医学誌「ランセット」(電子版)に掲載された。
 
各国から集めた計322のがん登録のデータベースを分析。
胃や肺、女性の乳房や子宮頸部、男性の前立腺、成人と14歳以下の小児それぞれの白血病やリンパ腫など計18のがん種について、2014年までの15年間に診断された約3751万件を対象とした。
条件をそろえた上で、データの精度が一定以上の国について5年生存率を比べた。
 
日本は大阪や宮城、広島など16府県の約183万件が対象。
データの精度が低かった肝、膵、大人の脳腫瘍を除く15のがん種について各国と比べた。
 
10~14年の推計5年生存率は、日本は肺がん32.9%、食道がん36.0%で最も高かった。
胃がんは60.3%で、韓国の68.9%に次いで高かった。
乳がんや子宮頸がんなども高い水準だった。
一方、白血病やリンパ腫などの血液がんは欧米に比べて生存率が低い傾向だった。
 
日本は胃がんをはじめ症例数が多く、検診や手術などの医療技術が高いといえる。
血液がんは、日本人では予後が悪いタイプが多いことが影響している可能性もある。
 
分析は3回目。
前回の14年から各国の生存率は全体的に向上し、特に肝、膵などの治療が難しいがん種でも改善がみられたという。
 
グループによるとこの結果は、特定の病院からの抽出ではなく、一般人口で比較できるものという。
経済協力開発機構OECD)が国際指標として採用している。
生存率が低い部位のがんについて課題を探るなど、日本でもがん対策に生かしたい。


主ながん種の5年生存率の比較
                      1位
食道                日本
胃                   韓国  (日本 2位)
肺                   日本
乳房(女性)     米国  (日本 3位) 各国僅差
子宮頸部(女性)   韓国  (日本 2位)
白血病               フランス(日本 5位)
白血病(小児)      豪州  (日本 3位) 各国僅差

参考・引用
朝日新聞・夕刊 2018.2.20