新型たばこ

新型たばこも危険性残る

喫煙は発がん原因のトップで史上最大の人災だ。
今、新型たばこが急速に広がっている。
紙に巻いた葉タバコを燃やす従来のたばことは異なるもので「非燃焼・加熱式たばこ」と「電子たばこ」に大別される。

非燃焼・加熱式たばこは葉タバコを加熱し、ニコチンを含むエアロゾル(浮遊性微粒子)を発生させて、吸引する。
電子たばこは液体を加熱して気化させる。
液体にはニコチンを含むものと含まないものがあるが、含む液体を加熱するタイプの電子たばこは、日本では医療機器として取り扱われるため、一般には流通していない。
日本で普及し始めているのは非燃焼・加熱式たばこだ。
「アイコス」「プルームテック」「グロー」などがある。
 
20世紀後半、紙巻きたばこの害が明らかになり、種々の規制が設けられてきたが、その規制に対応するように製品を進化させたのが新型たばこといえる。
しかし、新型たばこでもヘロインやコカイン以上の依存性を持つニコチンの量はほぼ同じだ。
なお、ニコチンは葉を食べられないようにナス科の植物のタバコが作り出した毒だ。
 
確かに、一部の発がん物質については、新型たばこは通常のたばこより少ないことが分かっている。
しかし、未知の成分もあり得るし、個々の成分ではなく、混合物の吸入行為として全体的に評価する必要がある。
 
体内で発生したがん細胞が発見できる大きさになるには20年といった長い時間が必要なため、新型たばこの危険性を評価できるのはずっと先の話だ。
さらに、新型たばこの使用者の多くが以前から喫煙しているため、新型たばこそのものの影響を検証できるのは次の世代になってからになる。
 
新型たばこは煙を出さないから、煙からの受動喫煙はない。
しかし、人が吸い込んだ空気の3分の1程度はそのまま吐き出される。
喫煙者の吐いた息によって、発がん物質を含んだエアロゾルの「受動吸入」は間違いなく起こる。
 
喫煙者が禁煙のつもりで代替品として使い、臭いが少ないために周りも容認するといった傾向もみられる。たばこ会社の思惑通りだとすれば、大きな問題だ。
東京大学病院・中川恵一 准教授)

参考・引用
日経新聞・夕刊 2018.2.21