「がん探知犬」

「がん探知犬」 動物の嗅覚 早期発見に応用

1万2000年前のイスラエルの遺跡から人と一緒に埋葬された骨が発見されるなど、犬は「最古の家畜」といわれています。
 
人間の1億倍ともいわれる犬の嗅覚をがんの早期発見に活用しようという試みがあります。
訓練を受けた犬が受診者の尿のにおいを嗅ぎ分けてがんの早期発見につなげようというもので、山形県金山町は昨春から「がん探知犬」による検診を試験的に始めています。
 
私的コメント;
「人間の1億倍ともいわれる嗅覚」で心配なのは、臭い匂いを嗅いだ時にはどうなるんでしょうか。
余計な心配をしてしまいます。
そもそも、いい匂い、臭い匂いが人間の中で(ほぼ)世界中で共通なのも不思議です。
ただ、「世界中」というのは少し大袈裟で、納豆の匂いは「履き古した靴下の匂い」と外国の人には感じるようです。

参考;
世界の臭い食べ物ランキング
https://matome.naver.jp/odai/2141234102101598901

同意が得られた927人のうち11人の尿から陽性反応が出たとされます(昨年12月時点)が、精密検査などとつき合わせた最終判定には時間を要します。
 
ただ、犬がどの物質を「がんのにおい」と感じているかは分かっておらず、判定は「犬まかせ」です。
がんのにおいを感じないケースが続くと犬がやる気を失うこともあるようです。
がん患者の尿が入った容器を交ぜて正解させることによって、やる気と集中力を保つ工夫も必要になるといいます。
 
犬よりずっと小さく、体長1ミリメートルにも満たない線虫の嗅覚を利用する取り組みも始まっています。線虫は大量に培養でき、取り扱いも容易なことから実験材料として広く利用されてきました。
この線虫の特徴は、犬と同等かそれ以上に優れた嗅覚を持つことです。目がないかわりに、鋭敏な嗅覚で餌に近づいていく習性があります。
 
線虫はがん患者の尿にも近づく性質があるとされ、がんの早期診断への応用が期待されています。
簡単に培養できるため、検査費用も安価と見積もられ、日立製作所なども開発に参加しています。
 
他にも「夢の検査法」が次々に提案されていますが、早期発見の目的は「がんによる死亡率を下げる」ことで、有効性の評価には少なくとも10年以上は必要です。
また、治療を要さないがんを発見してしまう「過剰診断」はかえってマイナスになります。
 
現在、有効性が確認されている検診は、胃がんバリウム検査・胃カメラ、肺がんのレントゲン検査、大腸がんの便潜血検査(検便)、乳がんマンモグラフィー、子宮頸がんの細胞診です。
まずはこれらの検査をきちんと受けることが大切です。

参考・引用
日経新聞・夕刊 2018.4.25
(執筆 東京大学病院・中川恵一准教授)