ブランバーグ先生

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2007年11月19日の朝日新聞・朝刊「探求人」の記事からです。

米フォックスチェイスがんセンターシニアアドバイザー
バルーク・ブランバーグさん(82歳)
という紹介記事ですが、じつはとても偉い方なのです。


B型肝炎「ワクチンで予防を」という題です。
以下新聞記事から

神戸市で開かれたアジア太平洋消化器週間の「B型
肝炎ウイルス(HBV)発見40周年記念講演」のため、
先月、来日した。
「世界には、診断や治療を受けないまま苦しむB型肝炎感染者がまだ多くいる」と、
ワクチンによる予防の重要さを訴えた。

67年(42歳)、オーストラリア人の血液から見つけたたんぱく質が、HBVの
一部であることを突き止めた。
その後も肝炎研究に打ち込み、76年(51歳)にノーベル医学生理学賞を受けた。

69年(44歳)にはワクチンを開発したが、米食品医薬品局から承認されたのは
80年代になってから。
講演後の記者会見で
「淡々とワクチンの有効性を示すデータを集める日々を過ごした。
科学の成功はたゆまぬ努力のたまものであり、天才の一瞬のひらめきではないと
わかった」
とふり返った。

HBV感染者が今、約130万人いるとされる日本では、治験によるワクチン使用
が81年に始まった。
86年からは母子感染予防対策として公費負担でワクチン接種が始まり、感染者が
減っていった。
しかし、父子感染の危険や若者の感染増加は、なお指摘される。
 
エイズウイルスやC型肝炎ウイルスとは違い、B型肝炎にはワクチンがある。
国の状況にもよるが、本当はすべての子どもにワクチン接種して欲しい」


<コメント>
( )内の年齢は私がつけました。
B型肝炎の発見とノーベル賞受賞のニュースは今でも鮮明に覚えています。
知らないうちに40年もたってしまったわけです。
それにつけても82歳で来日して講演するという元気さにはただただ敬服する
ばかりです。
ブランバーグ先生は米国の方ですが、B型肝炎ウイルスはオーストラリア抗原
といいます。
この言葉からどうしてもオーストラリアのイメージがついて回ります。
ピロリ菌を発見されたMarshall先生とWarren先生もオーストラリアの方なので
何かとイメージが重なってしまいます。
いずれにしても科学的な発見には感動するエピソードがつきものです。
私の医師向けのブログにも少し書いてみましたので、よろしかったらご覧下さい。

The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2005
http://nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2005/index.html

インスリン発見を1ドルで売った男
http://wellfrog.exblog.jp/7143672/


<番外編>
昔から新聞の死亡欄を見る癖があります。
「乖離(かいり)性大動脈りゅう」という病名が、とある新聞で使われていましたが、
医学的にも一般的にも正しくは「解離性・・・・」という言い方をします。
いわゆる一流紙の記事だけにがっかりしてしまいます。
ちなみに私のパソコンでも「かいり」を変換すると「乖離」が真っ先に出てきて
しまうのですが。

医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/200708