CKDってなんだろう その2(2/2)

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新聞の全面広告の記事からの紹介です。
きのうにつづいてのCKDの紹介です。

ポイント3 腎機能の低下が悪循環をもたらします

CKDが心血管疾患の重要な危険因子だという点について、もう少し詳しく教えてください。

菱田 
透析患者には心筋梗塞脳卒中などを合併している人が多く、そのために死亡率が高いという
ことは昔から知られていました。
ところが最近、透析まで至らない段階のCKD患者でも心血管疾患で亡くなる人の率がかなり
高いこと、またCKD患者では腎臓機能低下により透析が必要になる危険よりも、その手前で
心血管疾患で死亡する人の方が多いことが分かってきました。
さらに心血管疾患患者の多くでは腎臓の機能が低下していること、心血管疾患の再発率は腎臓
の機能が低下しているほど高いことも分かってきました。

なぜ、そのようなことが起こるのでしょう。

菱田
CKDになる危険因子としては、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム脂質異常症
喫煙などがありますが、これらは心血管疾患の危険因子と共通してい
ます。
つまりCKD患者はもともと心血管疾患を発症しやすい危険因子を持っている可能性が高い
ことになるわけです。
また腎臓の機能が低下するとそうした危険因子がさらに増幅します。
例えば、体内に塩分がたまると高血圧になりますが、腎臓の機能が低下すると塩分がうまく
体外に排出されないので、血圧が高くなってしまいます。
そうすると今度は、それが腎臓の機能をさらに低下させるというスパイラル状の悪循環に
陥ってしまうのです。

ポイント4  血圧をさげることと尿たんぱくを減らすことが重要です

CKDの治療はどのように行うのですか。

菱田 
まず食事や運動などの生活習慣に気をつけてCKDにならないように注意することが必要です。
CKD患者についての治療目的は二つあります。
透析が必要な末期腎不全への進行を阻止または遅らせることと、心血管疾患の発症や悪化を防
ぐことです。
そのためには血圧を下げることと、尿たんぱくを減らすことが重要です。
血圧に関しては130/80mmHg未満を目指します。食事では1日6グラム未満を目標に食塩の
摂取量を減らすことがポイントです。
生活習慣の改善だけで血圧が十分に下がらない場合や尿たんぱくが減らない場合は、薬物による
治療が重要です。
特に、アンジオテンシンⅡ(AⅡ)という血圧を上昇させる物質の働きを抑えるARB、AⅡ
ができにくくするAACE阻害薬などの降圧薬は尿たんぱくを減らす効果もあるので、大きな
役割を果たします。

ほかにはどんなことが必要でしょう。

菱田 
腎臓機能低下が進むと低たんぱく食に切り替える必要が出てきます。
またCKD4期に入ると貧血や血液中のカリウム、カルシウム、リンの値の管理、血液の酸性度
が高くなり過ぎた状態であるアシドーシスの管理などが必要になってきます。
食事や運動、喫煙についての医師の指導を守ることが大切です。
睡眠や休養をきちんととり風邪など腎臓病を悪化させるきっかけを少なくすることも大切です。
またCKDを予防する上では少なくても1年に1回は尿検査を受け、尿たんぱくを調べること
が重要です。
健康診断で尿たんぱくを発見された人の半分くらいは放ったままにしているといわれていますが、
ぜひ精密検査を受けてほしいものです。
CKDは治療し得る時代になったのですから、透析や、心血管疾患になるのを防ぐためには病気
の早期発見・早期治療が最も大切です。

日経新聞・朝刊 2007.12.16
「働き盛りの健康管理シリーズ」
版権  日経新聞


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