CKDってなんだろう その1(1/2)

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CKDって言葉聞いたことはありますでしょうか。
内科の分野ではメタボリックシンドローム(正式には「内臓脂肪症候群」)と同様に最近
つとに話題にされています。
その趣旨は腎臓病がどのような原因で起こったかにかかわらず、CKDが心血管系に大い
に悪い影響を与えるという臨床的事実からつけられました。


以下は新聞の全面広告の記事からの紹介です。
2回にわたって紹介します。
すでに読まれた方もお見えのことと思います。
一般の方向けの記事ですが少し難しいかも知れません。
わからないところがあればコメント下さい。

*****

ここ数年、CKDという腎臓の病気が世界的に注目されるようになっています。
日本腎臓学会も今年「CKD診療ガイド」を発表するなど、さまざまな対策や啓発活動を活発に
進めています。
CKDとはどんな病気なのか、なぜ注目されているのか、どんな治療を行うのか などに
ついて浜松医科大学内科学第一講座教授の菱田明先生に伺いました。

あなたの血管大丈夫?  CKDが心血管疾患のリスク増大


ポイント1 尿たんぱくが出たり血液ろ過能力が低下します

最近CKDという病気が注目されています。
どんな病気ですか。

菱田
CKDはChronic Kidney Diseaseの略で、新しい病気の概念です。
日本では慢性腎臓病と呼んでいます。
いわゆる「慢性の腎臓病」は昔からありましたが、 その中のある部分をCKDという形で
くくり直したわけです。
生活習慣病の一つとして位置づけたといってもいいでしょう。
日本腎臓学会では
①尿たんぱくが出ていたり血液検査や画像検査などで腎臓障害があることが明らか
②腎臓障害の存在を示す明らかな証拠がなくても糸球体ろ過量 (GFR)が60ml/分未満
のどちらか、または両方が3カ月以上続いている状態をCKDと定義しています。

GFRとはどのようなものですか。

菱田 
腎臓はさまざまな働きをしていますが、最も重要なのは体内を流れる血液を糸球体で
ろ過してきれいにするとともに、血液から取り除いた老廃物を尿として体外に排出する
ことです。
フィルターの役目を果たす糸球体は毛細血管の塊で、GFRはこの糸球体が1分間にどれ
くらいの血液をろ過し、尿をつくれるかを表します。
腎臓の機能を示していると考えていいでしょう。
健常な人のGFRは100ml/分前後です。

CKD患者だとどのくらいなのですか。

菱田
日本腎臓学会のCKD病期分類では、腎臓障害が
なくGFRが90ml/分以上でもCKDの危険因子を持っていればCKDのになる可能性が高い
ハイリスク群、尿たんぱくが出ているなどの腎臓障害があっても
GFRが90ml/分以上なら病期1、同じく60-89ml/分なら病期2と定めています。
またGFRが30-59ml/分に低下すると病期3、15-29ml/分は病期4、15ml/分未満
は病期5と分類しています。

ポイント2 透析患者が2006年で26万人を超えました
CKDが注目されるようになったのは何が理由でしょう。

菱田
大きな理由は三つです。
一つは、慢性腎不全で透析を必要とする患者さんが毎年1万人前後増え続けており、ムなどが
指摘されてきました。しかし2006年で26万人を超えたことです。国民500人に1人
という計算になります。
透析には2種類ありますが、患者さんのほとんどが行っている血液透析では週に3回程度、
毎回4時間程度もかけて血液を浄化しなければなりません。
通常に近い生活が可能とはいえ、QOL(生活の質)が必ずしもよいとはいえません。
しかも透析患者では動脈硬化が進むことが知られており、寿命にも影響します。
二つめの理由は何でしょうか。

菱田
2000年以来、CKDに該当するような人たちは心筋梗塞脳卒中などの心血管疾患を発症
する頻度が高いという疫学研究の結果が、次々に報告されていることです。
心血管疾患の主要危険因子としては、これまで高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、
メタボリックシンドロームなどが指摘されてきました。
しかしCKDも糖尿病と同等程度の重要な危険因子であることが明らかになってきたのです。

三つめは。

菱田 
腎臓病はかつて非常に治療しに病気といわれていましたが、病態の解明と治療法の進歩で
治療し得る病気になったことです。
日本のCKD患者はGFRが60ml/分未満を目安にすると1800万人に上ると推定されています。
そうした人たちをなるべく早期の段階で治療し、透析が必要な慢性腎不全に進ませない、
心血管疾患を発症させないことは、本人や家族にはもちろん、33兆円以上に膨れ上がった
国民医療費の伸びを抑制する意味でも大切だと思います。


日経新聞・朝刊 2007.12.16
「働き盛りの健康管理シリーズ」
版権  日経新聞

明日に続く

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