ストレス遺伝子

イメージ 1


患者さんの中には、何でこんな些細なことにくよくよするんだろうかと思って
しまう方もみえれば、一方ではこんなにストレスをかかえてよく何ともないもんだ
と感心してしまう方もみえます。

話は少しそれますが、政財界にこんなにずうずうしくていいんだろうかという
方もみえますね。
取調べ中に自殺してしまう人、スキャンダルの後に堂々とカムバックする人。
たとえば、私は法に触れなければ問題ないと居座り続ける、日○の上○総裁の顔を
見る度に不愉快な気持ちになります。
この地位には倫理観こそが大切な筈です。
それとも経済界には倫理は不要ということなのでしょうか。
彼には少なくとも武士道の精神はなさそうです。

さて、「ストレスに強い」ことと「図々しい」こととは些か違うことなのですが、
新聞にストレスを科学的に分析した記事が載っていましたので紹介させていただきます。


DNAチップで発病予測も   「急性」「慢性」異なる働き

ストレスや疲労を感じやすい人とそうでない人がいるのはなぜなのか。
最近の研究で、人がストレスを感じたときに働く遺伝子が特定されてきた。
徳島大学ヒューマンストレス研究センター長の六反一仁教授(ストレス医学)は
「ストレスへの感受性や耐性は特定の遺伝子の働き方で左右される。
DNAチップで病気の可能性も判定できる」と話す。

--- ストレスにかかわる遺伝子を調べるDNAチップを開発しましたね。

「怒りや不安、抑うつといったストレス反応は神経系や内分泌系、免疫系が複雑に
相互作用して起こります。
血液中の白血球は原因物質を作るほか、ストレス反応にかかわる神経伝達物質
免疫物質、ホルモンと結びつくたんぱく質(受容体)をもつ。
私たちは血液中の1400以上の遺伝子を調べるDNAチップを使い、発現(活動)
する遺伝子を調べています。
その結果、ストレスの種類によってまるで異なる遺伝子が働くことを突き止めました」 
「例えば心理的ストレスには、大勢の人前で話すときのように直前に不安が高まる
急性反応と、難関の試験に挑む前のように何カ月も緊張が続く慢性反応とがあります。
両者を比べるため、医学部大学院生の学位発表会(急性反応)と医師国家試験の
受験勉強時(慢性)とで、遺伝子の発現をチップで調べました」

「興味深いことに、活動する遺伝子はまるで異なっていた。急性ストレス反応では
70の遺伝子が働くのに対し、慢性では24種で、重差があります。DNAチップで
調べると遺伝子発現の強度や持続時間に大きな差があり、耐性の違いを反映しています」

--- 重圧が積もり積もって病気になるのも、遺伝子
が左右するのですか。

「ストレス反応には誰にでも起きる正常な反応と、病的な反応とがあり、後者がうつ病
などストレス関連疾患の発症に強くかかわっている。心理的ストレスの蓄積が発症の
原因になることを考えれば、慢性反応にかかわる24の遺伝子が病気の発症を鑑別する
際に威力を発揮すると考えられます」
 「特定の遺伝子が発現して病的な反応が起こりやすいかどうかは、遺伝的素因意外に、
成育期の環境がより深くかかわっているのではないか。
実際、大学生にアンケート調査をすると、うつや不安を感じやすい学生は両親の愛情に
不満をもち、うるさく干渉された、と感じる割合が多い」

--- DNAチップで病気を予知できますか。

「チップは血液を調べるだけで遺伝子の活動を視覚化でき、落ち込んでいるだけなのか
病的なストレスなのかを見極められます。
病気をすぐに診断できるわけではありませんが、うつや慢性疲労症候群を発症しやすいか
どうかを判定する目安になる。
判定に基づいて予防策を練ったり、ストレス耐性を高めるような教育方法を考えたりする
のに応用できます」



慢性疲労症候群  9遺伝子が関与
疲労と遺伝子のかかわりの解明はあまり進んでいないが、DNAチップを使った研究で
いくつか成果が出ている。
慢性疲労症候群の患者では9つの遺伝子が強く発現していることが判明。
細胞内のエネルギー代謝や免疫系を担う遺伝子が含まれ、発症メカニズムの解明へ手掛
かりになる。

また、健康な人でも疲労困ぱいになるほどの身体ストレスがかかると、通常の運動
有酸素運動)とは違う遺伝子が働いていた。
これらの遺伝子が肉体疲労の生じやすさにかかわっているとみられる。

日経新聞・夕刊 2007.12.25
版権  日経新聞

医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(内科専門医向けのブログです)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)