牛乳が体に悪い?

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こんな記事を読むと牛乳を飲むのをためらってしまいます。
結論はまだ出ていないようですが、はたして骨粗鬆症予防に牛乳を患者さんに勧めていいのか。
私のような開業医は戸惑ってしまいます。
飲み過ぎはよくないかも知れないけど適量ならよいかも知れない?
これはありなんでしょうか。

以下の文中の
日本酪農乳業協会がつくった学識者の組織「牛乳乳製品健康科学会議」の会長
は老年学で著明な先生です。
立場上歯切れが悪いのは勿論のことですが、「科学的根拠はまったくない」と言い切っています。
骨粗鬆症の大家でもある先生ですが、逆に牛乳が骨折を防ぐというデータはお持ちなのでしょうか。
専門の先生に早く結論を出していただきたいと思います。


「牛乳有害説」をどう考えるか


「牛乳が体に悪い」という意見は、時々、思い出したように議論になるテーマのようだ。

最近では、「牛乳を飲み過ぎると骨粗鬆症になる」などとする医師の著作がベストセラーになった。
5年ほど前にも、有害説が本や雑誌に取り上げられた。

根拠としてよく引用されるのが、日本より牛乳をたくさん飲み、カルシウム摂取量が多い米国や欧州諸国に股関節骨折が多いうデータだ。
これが牛乳を飲み過ぎると、骨粗鬆症になる」と結びついていく。

しかし、股関節骨折は、食事だけではなく、人種、体格、運動量など様々な要因が関係する。
牛乳が骨粗鬆症の原因になるとの科学的証明はない。
世界保健機関(WHO)は「カルシウムの最良の補給源は牛乳乳製品」と位置づけている。

日本酪農乳業協会がつくった学識者の組織「牛乳乳製品健康科学会議」(会長・折茂肇健康科学大学長)は、ベストセラーの著者の主張に「各種の研究論文やデータから都合のよい部分を引用しているだけで、科学的根拠はまったくない」と反論している。

一つの食材をめぐり、「いい」「悪い」と議論になることは、珍しくない。

食物学が専門の高橋久仁子・群馬大教授は「牛乳有害説は、典型的なフードファディズム」と警鐘を鳴らす。
「フードファデイズム」とは、ある一つの食べ物や栄
養が、健康や病気に与える影響を過大に信じることだ。
「牛乳を全面否定するのも、逆に『牛乳飲めば健康万全』と礼賛するのも誤りです。
適量を取ることが大切で、重要なことは言うまでもありません」


朝日新聞・夕刊2008.1.28
「食の健康学」より
版権 朝日新聞社


牛乳と骨粗鬆症
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/eating1-10/osteoporosis1.html
なぜ、牛乳やチーズのカルシウムが骨粗鬆症の予防にならないのか。牛乳消費量の多い国民は牛乳に加えて肉・チーズなどの高タンパク食品の摂取も多い。タンパク質を構成するアミノ酸にはメチオニンシステインなどの含硫アミノ酸がある。動物性タンパク質は植物性タンパク質に比べて含硫アミノ酸が多い。これらのアミノ酸の硫黄は分解されて硫酸イオンとなり体液の酸・塩基平衡を酸性側に傾ける。酸性になった体液をアルカリにして酸・塩基平衡を保たなければならない。体内に取り込まれた酸あるいは代謝で産生された酸は腎臓から尿中に排泄しなければならない。腎臓はpHが5以下の尿を排泄することができないから、酸性に傾くと体液は直ちにアルカリで中和される。中和に用いられるアルカリ源はカルシウムである。体内のカルシウムの99%は骨に存在する。細胞内の微量のカルシウムを中和に用いることはできないので骨のカルシウムがもっぱら使われる。
ラクターゼ活性持続症(牛乳が飲める)の欧米人でさえ牛乳中のカルシウムは骨粗鬆症の予防に役立たない。役立たないどころか、牛乳は骨粗鬆症を助長する。まして、牛乳が飲めない(正常である!)日本人が牛乳を飲んでもカルシウムはそれほど吸収されない。腸管内の水分だけでなく、腸上皮細胞内の水分も取り込んで、腸管内を下ってしまう。日本人に対する牛乳の効果は便を柔らかくする以上のものではない。


日本人と牛乳(決定版)
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/lifestyle2/japanesemilk.html
牛乳を飲んでも骨粗鬆症の予防にならないことはアメリカで行われた大規模疫学調査[5,6]において実証されている。そのためアメリカでは、1998年から、「骨粗鬆症の予防に牛乳を」というコマーシャルがメデイアから消えた。日本でも2003年から骨粗鬆症に絡めた牛乳の宣伝が行われなくなったことにお気付きの方もおられるであろう。
現代の酪農は昔の酪農と大きく異なっている。根本的な違いは「妊娠牛からミルクを搾るようになった」ということである。妊娠すると、通常、乳汁の分泌が少なくなる。ヒトと同様である。ところが現代の酪農では、乳牛は妊娠しながらも大量の乳汁を出す。濃厚飼料を与え、搾乳器で吸乳し続けるからである。妊娠すると、子宮内に胎児を保持するために、血中の卵胞ホルモン(エストロゲン)濃度と黄体ホルモン(プロゲステロン)濃度が高くなる。したがって、妊娠中の乳牛から搾った乳汁にはこれら女性ホルモンが含まれている。


牛乳を飲むと骨が弱くなる?!
http://www.binchoutan.com/milk.html

牛乳についてのとんでもない話 (牛乳乳製品健康科学会議 監修)
http://www.j-milk.jp/library/faq/8d863s000007e8iu.html

もっと知りたい! 骨のこと
http://www.jpof.or.jp/content/form/faq_02.htm