パルスオキシメーター 

パルスオキシメーター 「血液中の酸素」足りている?

新型コロナウイルスに感染した人が、肺炎などの重度の呼吸不全を起こしていないかを判断するため、「パルスオキシメーター」という医療機器が使われている。

洗濯ばさみのように指先を挟むだけで短時間で測れる手軽さから、医療機関や訪問診療などだけでなく、最近は家庭向けの製品が登場している。

 

どのぐらいの酸素がいま血液中を運ばれいるかを、採血せずに体の外から知るこができるのがパルスオキシメーターの特徴。

呼吸によって肺から体内に取り込まれた酸素は、血液中の成分「ヘモグロビン」と結合し、全身に運ばれる。

パルスオキシメーターは、酸素と結合すると鮮やかな赤色に変色するヘモグロビンの性質を利用するもので、指の皮膚の上から光をあてて透過させ、指による光の吸収度などから動脈血の色を測る。

 

皮膚の下には静脈や他の組織も通っているが、動脈に特有の「ドク、ドク」という脈動をもとに、動脈血だけをとらえることができる。

動脈血中のヘモグロビンの何%が酸素とくっついているかを示す「酸素飽和度」を割り出す。

 

健康な人の酸素飽和度は96~99%。

90%未満だと呼吸不全の状態といえ、これが続くと心臓や脳などが酸素不足になって障害をきたす危険がある。

90%以上の状態を維持することが重要だ。

 

開発者は日本光電の技術者だった青柳卓雄氏。

1974年のことだ。

手術中の患者の容体が酸素欠乏で急変するのを素早く検知したり、酸素過多による新生児の未熟児網膜症の発症を防いだりするのに貢献し、世界の医療現場で普及した。

青柳氏は日本のコロナ第1波のさなかの昨年4月に84歳で亡くなった。

米ニューョーク・タイムズなど世界の主要メディアが訃報を伝えた。

 

近年は医療現場のほか、在宅で酸素療法をしている患者が医師の指導のもとで利用したり、低酸素状態になりやすい航空機や高地旅行で使われたりして一般に普及してきたことから、日本呼吸器学会は2014年、一般向けの小冊子「よくわかるパル

スオキシメータ」を作成した。

https://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/guidelines/pulse-oximeter_general.pdf

https://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/guidelines/pulse-oximeter_general.pdf

(患者向け)

https://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/guidelines/pulse-oximeter_medical.pdf

(一般医療者向け)

コメント

「メータ」というタイトルもナンだか。

 

新型コロナ対策でも、一部の地方自治体で貸し出しを始めた。

ネットの通販サイトでは1万円以下のさまざまな製品が売れている。

国内の大手メーカーは日本光電やコニカミノルタなどがあるが、中国など海外製品も多い。

国内外を問わず、日本の医療機器認証制度による審査を受けた製品には「認証番号」が記されている。

 

せきなどの呼吸器症状があって自宅療養中に酸素飽和度を測る使い方が一般的だが、利用には注意が必要だ。

 

機器ごとに数値に誤差があるうえ、指先が冷えて血流が十分でなかったり、マニキュアをつけていたりすると正確に測定できないことがある。

ヘモグロビン自体が少ない貧血の人の場合、血液中の酸素の量は不足している可能性もある。

患者の状態を総合して判断する必要があり、数値を容体管理に生かすには、かかりつけ医への相談が欠かせない。

 

パルスオキシメーターは、新型コロナ感染に伴う呼吸器症状の重症度の判断には使えても、感染の有無は判断できない。

自治体による貸し出しが広まるにつれ、品薄状態が予想されている。

           

参考・引用一部改変

朝日新聞・朝刊 2021.2.6

 

参考

大勢の人を助けている機械は日本で発明されたけれど最初に普及したのは米国

https://www.health.ne.jp/library/detail?slug=hcl_column191211&doorSlug=dr