がん告知

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ある日の診察室。
当院で食道がんの診断をして当地方の公立のセンター病院へ紹介したGさんの
奥様が来院されました。

私「ご主人いかがですか」
奥様「結局手術が出来ない状態ということで、放射線抗がん剤の治療とい
うことになりました。」
私「そうだったんですか。手術が出来るという判断で外科部長に紹介したん
ですけどねえ。それは残念でした。」
奥様「でも、おかげさまで入院する時の背中の痛みはすっかりとれました。」
私「それはよかったですねえ。」
奥様「でも最初にいきなり部長先生が”食道がん”と本人に告知されたのには
びっくりしました。」
私「そうなんですか。最近の病院の先生ってそんな感じなんですか。がんを
告知することが病院の方針なのか先生個人の考えなのかを知りたいところ
です。」
奥様「本人も相当のショックでした。でも私としては後の接し方がラクになり
ました。」
私「自分が昔、研修医のころ消化器科をローテートしていて、がんの方に告知
しないのが常識でした。ウソをつくことに診療のエネルギーの半分を使って
いる感じでとてもいやでした。それが後に、がんのない循環器科を志した理由
かも知れません。ウソをつかなくてもいいわけですから。」
奥様「家族への了解もなくいきなり本人に告知されたことにはやはり少し抵抗
がありました。時代が変わったということでしょうかねえ?」


「がんの告知」は簡単には結論の出るテーマではありません。
そして、いつ自分自身や家族に降りかかって来ることかも知れません。
この話のように、いきなり告知された場合には迷っている暇さえないわけ
ですが、家族の立場で先生から「どうされますか?」と聞かれたら、貴方なら
どう答えますか?

がん患者を診療する個人の医師も医療機関も、もう一度
きちんと考えを整理し直す必要があるのではないでしょうか。

医師は医療技術だけではなく、全人的資質を備えていなければなりません。
そして患者さんからそのことを要求されています。
人間という器械の部品を直すような、単なる修理工であってはなりません。
「直す」と「治す」、
「cure」と「care」。
告知後のメンタルケアや、それに伴う責任はさらに重大ということになります。
全国各地の病院で精神面を含めたトータルケアを目指したチーム医療が
「がん治療」取り入れられる動きが出てきています。


がん告知
http://www.koalanet.ne.jp/~s_imai/chiryo_1_03.htm
ようこそ松前病院へ
http://www.masaki-hp.com/index.html
(左欄の「がん告知」をクリックして下さい。)
がん告知
http://hippo.med.hirosaki-u.ac.jp/~sasakin/nao-h/p516gann.htm
がん 告知 訴訟
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/GanKokuti1009Yomi.shtml
がん(特に末期または進行期がん)患者に対するインフォームド・コンセント
http://www.kanazawa-med.ac.jp/~yasum/informed-concent.html


以下3つの代表的ながん拠点病院のサイトを覗きましたが「告知」についての
病院側の見解は書かれていないようです。

国立がんセンターホームページ
http://www.ncc.go.jp/jp/
有明病院
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=癌研&btnG=Google+検索&lr=
静岡県立静岡がんセンター
http://www.scchr.jp/


がん専門病院ですら、告知」についての病院のコンセンサスはどうやらないようです。

医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録http://wellfrog.exblog.jp/
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/200708