人生のエンディング ①

人生の最大のイベントである生と死。
節目のウエディングの後にはエンディングが待っています。

40代から考えを

増える高齢独居 2030年に429万人
日本で1年間に亡くなる人の数が100万人を超えたのは5年前のことです。
いつかは訪れる最期。
何の備えもなく突然逝ってしまうと、家族や地域に大きな迷惑をかけることもあります。
自分らしく尊厳をもって人生の幕を閉じる。
その準備と心構えを探ります。


「こうは絶対になりたくない。そんな意識を持って下されば幸いです」。
遺品整理の専門業者キーパーズ(本社・愛知県刈谷市)の吉田太一社長(44)が作成
したDVDは、シンプルな線描のアニメで「孤独死」の現実を突きつける。
 
主人公の孤次郎さんは、民間の賃貸アパートに住む高齢者。
妻には先立たれ、ひとり暮らし。
外出も風呂に入るのもおっくうだ。
 
ある日、コタツに入ったままこと切れる。
しかし、近所の人にあいさつもしない生活が災いし、発見されたのは死臭が外に漏れ
だした1カ月後だった。
 
唯一、挿入される実写は、畳に黒々と残された人の形。孤独死の現場だ。
 
創業6年のキーパーズがこれまで扱った7000件以上の依頼のうち、吉田さんが
孤独死」と分類したケースは1000を超える。
 
共通する特徴は「生活が壊れていること」だ。
部屋は乱雑。
テレビは映らないチャンネルがある。
窓は割れたまま。
体の調子が悪くても病院に行かない。
「(バランスの崩れた生活を元に戻せないまま、引きこもりの状態になっている」と吉田
さん。
気になるのは孤独死が、いわゆる高齢者より50~60歳代に多いことだ。
 
都市再生機構(UR)が管理する賃貸住宅(約77万戸)で、「ひとり暮らしで、誰にも
みとられずに死亡した」件数は、統計をとり始めた99年度の207件から、2007年度
には589件に急増している。
 
日本の死亡者数が100万人を超えたのは2003年。国立社会保障・人口問題研究所
(社人研)の推計では、40年には166万人に達する。
 
団塊の世代が『死亡適齢期』になれば、格段に死亡者数は多くなる」と高橋重郷・社人研
副所長は言う。
戦争と、その後のベビーブームは、今度は「大量死時代」として社会に影響を及ぼし始める。
 
そこに重なるのがひとり暮らしの増加だ。
75歳以上の単独世帯数は2005年の197万から30年には429万に急増するとみられる。
8人に1人は、ひとりで老後を過ごす時代になる。
 
昔と違い、今は8割が病院で亡くなる。
最期に、どのような医療や介護を受けたいのか。
考えを周囲に伝えておけば、自分が望まないような延命治療や検査を避けることができる。
 
仮に自宅で死んだとしても早く発見されるようにする。
財産の処分がスムーズにいくよう遺言を残す。
墓は……。
きれいに人生の幕を引くために、準備しておくことは山ほどある。
 
「死に様は、生き様を語る」と、キーパーズの吉田さんは言う。
体力が弱ってきて、いくつかの葬儀にも参列する40歳代から、人生のエンディングを考え
始めることを勧めている。
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出典 朝日新聞・朝 2008.8.28
版権 朝日新聞社

<コメント>
核家族化とともに子供がいる高齢者も、独居という方が多くなっています。
私がみている患者さんも、各家庭の事情があるでしょう。
「気楽でいい」「嫁とうまくやっていけない」「住宅事情が許さない」「同居の声がかから
ない」「長年住んでいた家をあけることができない」「転勤族の息子と一緒に各地を転々と
するのはイヤだ」といった話を診察室で聞くことがあります。
つい昨日も、介護施設に入所していた御主人が急死したというお話を聞きました。
本当の孤独死とは違いますが、急死はある意味で孤独死です。


読んでいただいて有難うございます。
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