低血圧

季節の変わり目はなにかと調子が悪いものです。
そんな時期でのめまいや立ちくらみ。
原因はさまざまです。

季節の変わり目に注意

朝起きたとき、立ちくらみすることはありませんか。
一時的に血圧が低くなって起きるとみられていますが、夏場や季節の変わり目に目立つ
そうです。
    
    ■ □ ■
 
低血圧は、「高い方の血圧(収縮期血圧)が100(単位はミリ水銀柱)以下が目安と
される。
子どもでは、起床時に立ち上がった際などに血圧が下がってめまいや立ちくらみが起
きることがある。
 
起立性調節障害(OD)」と呼ばれ、自律神経がうまく働かなくなって、立ち上がった
ときに下半身の方に片寄った血液が、全身、とくに脳にスムーズに流れないようになる
ことが原因になる。

日本学校保健医会の調査報告(2006年度)では、中学生では女子の24%、男子の
17%にこうした症状がみられると判定された。
高校生になると女子は29%、男子18%。
かなりの割合になる。
 
「こうした子どもたちは、朝なかなか起きることができません。起きても立ちくらみがする
場合が多いんです」と、大阪医大の田中英高・准教授(小児科)。
 
倦怠感が抜けず、起きてしばらくすると頭痛がすることもある。
昼過ぎからはたいていてい元気になり、今度は夜なかなか寝付けない。
「夜更かしするから朝起きられないんだ」と周囲は思い、「なまけている」としかるから、
傷つく子どもも少なくない。
 
田中さんは「きちんと対応しないと子どもは悩みを抱え込んでしまい、不登校につながり
かねない。
少しでも疑わしい症状があれば、小児科医に相談した方が良いでしょう」とアドバイス
する。

日本小児心身医学会の小児起立性調節障害診断・治療ガイドラインによると、日常生活
での注意点は、早寝早起きで生活のリズムを整え、昼間はだるくても横にならないように
することだ。
 
テレビやパソコンなどは1時間以内にとどめるほか、暑い場所に長時間いるのを避ける
のが重要だ。
水分は食事以外に1日1.5~2リットルを目安にとり、一般に塩分不足になりがちな
低血圧の人は、少し余分にとるよう心がけることも重要だとしている。
大人の場合は自律神経に異常がある糖尿病やお年寄りによくみられる。
ゆっくり立ち上がる習慣を身につけた方が安全だ。
   
    ■ □ ■
 
高血圧の人も、時と場合によって急に血圧が下がることがある。
 
「秋から冬にかけて注意すべきなのはお風呂です」と、東京都老人医療センターの桑島巌
副院長は話す。
寒い脱衣所で服を脱ぐと血管が収縮して血圧が上がる。
お湯につかりすぎると血管が広がって血圧が下がり貧血状態になっておぼれる心配がある。
 
桑島さんは「風呂場での血圧の上がり下がりはジェットコースターのようなもの。高血圧
でない人も注意を」と指摘する。
浴室全体を暖めると良いという。
 
食後、胃の活動が活発なときは血液も胃に集まっていて貧血を起こしやすい。
入浴は空腹時の方がリスクは少ない。
排尿の際も腹部の圧迫がなくなるので血管が広がり貧血を起こすこともある。 
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出典 朝日新聞・朝刊 2008.9.7
版権 朝日新聞社

<コメント>
「めまいや立ちくらみ」の原因は、低血圧以外に貧血が原因の場合もあります。
ここで貧血についての混乱があるので少し説明します。
脳での血圧(脳への血流)が急に下がった場合も貧血といわれることがありますが、
この場合は「脳」貧血です。
それに対して、血液が薄くなるのを一般的に貧血といいます。
私は患者さんが混乱しないように「血液の貧血」「脳貧血」と区別して説明しています。

さらにこの2つが合併する場合もあります。
そのような場合には、それぞれが軽くても症状が出やすくなります。
したがって、片方が見つかった場合にはもう一つのほうにも気を留める必要があります。

読んでいただいて有難うございます。
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