うつ病の効果的な治療

2月22日の夜、NHKの特別番組で「うつ病治療 常識が変わる」が放送され大きな反響がありました。

うつ病治療 常識が変わる
http://www.nhk.or.jp/special/onair/090222.html
<番組内容紹介>
100万人を超えたうつ病患者。
これまで「心のカゼ」と呼ばれ、休養を取り、抗うつ薬を服用すれば半年から1年で治ると考えられてきたが、現実には4人に1人は治療が2年以上かかり、半数が再発する。
その背景には、治療が長期化している患者の多くが、不必要に多くの種類や量の抗うつ薬を投与されていたり、診断の難しいタイプのうつ病が増加していることが専門家から指摘されている。
さらに、医師の技量レベルにばらつきがあることも明らかになってきた。こうした中、薬の処方を根本的に見直す取り組みや、難しい診断が一目でできる技術の研究が進んでいる。
また、「うつ先進国」のイギリスでは2年前から、国を挙げて抗うつ薬に頼らず、カウンセリングでうつを治す「心理療法」を治療の柱に据え、効果を上げている。うつ病治療の最前線に迫る。


きょうは、うつの治療をとりあげてみました。

うつ病治療のポイントは「休養」と「くすりの服用」です。

うつ病の治療の基本は休養とくすりによる治療です。
まず十分な休養をとることが大切です。あなたが抱えている仕事や家事などの荷物を少しの間おろして、疲れたこころとからだを十分に休めてあげましょう。
それと併行して、くすりによる治療で脳内神経伝達物質のバランスの乱れを調整します。うつ病患者さんの多くがくすりに頼ることを甘えていることと考え、治療を受けることに抵抗を感じるようです。
しかし、どんなにからだやこころを休めても、からだの中で起こっている異常をきちんと修正しなければうつ病は治りません。
また他の病気と同様に、放っておくとますます悪化してしまいます。

病医院での診察から治療までの流れは普段風邪などで病医院へ行ったときと同じで、十分な問診を行ったあと、くすりによる治療が行われるようになります。

主な問診の内容は、「どんな症状があるのか」、「いつごろからそのような症状が出るようになったのか」、「大きな環境の変化などはなかったか」などの話しを聞きながらうつ病になるまでの原因を探していきます。

治るまでにある程度の時間はかかりますが、うつ病は早期発見と適切な治療を受ければ治る病気です。うつ病が「病気」であることを理解して、焦らずじっくり治療に取り組むことが大切です。



抗うつ薬が脳内のバランスの乱れを修正します。

うつ病の治療には、主に「抗うつ薬」という種類のくすりが使用されます。

抗うつ薬は、うつ病で生じる脳内神経伝達物質のバランスの乱れを修正することによって、うつ病の症状を改善します。
そのため、抗うつ薬を服用すると憂うつな気分や不安感などが改善されますが、それは決してくすりによって性格が変わったりするわけではありません。

抗うつ薬は使用され始めてから、この40年の間に大きく進歩しています。
主な抗うつ薬の種類には、三環系抗うつ薬四環抗うつ薬SSRISNRIなどがあり、どの種類もうつ病の症状を改善しますが、中でもSSRIは、からだの中のうつ病に関係する部分のみにくすりが作用するため比較的副作用が少ないといわれています。

抗うつ薬を服用する際、もっとも大切なことは、医師の指示にきちんと従うことです。
自己判断でくすりの量を調整したりくすりの服用を止めたりすることは、回復を遅らせたりうつ病を悪化させる原因になります。
また、抗うつ薬は、熱を下げるくすりのように即効性のあるくすりではなく、2~4週間のうちに徐々に効いてきます。
したがって、服用を始めてすぐに効果が出ないからといって不安になる必要もありません。
その効果があらわれる速度はゆっくりかもしれませんが、抗うつ薬は確実に脳内の神経伝達物質のバランスの乱れを調整しながらうつ病を改善していきます。

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<参考および引用サイト>
うつ病 治療のポイント
http://utsu.jp/05.html
うつ病 うつ病のくすり
http://utsu.jp/06.html

<参考文献>
NHKテレビテキスト きょうの健康 2009.3


<きょうの一曲>
コブクロ  『蕾(つぼみ)』
http://www.youtube.com/watch?v=W49FmsGWYkQ


読んでいただいて有難うございます。
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