インフルエンザ 簡易検査

当院は、今日時点で新型インフルエンザ非感染地域です。
しかし、昨日初めて当院にも発熱相談センターに電話してから来院した方が二人みえました。
いよいよ、当地域でにも感染が近づいて来たな、と実感しています。

さて、ニュースでも診断の手がかりとなる簡易検査が取り上げられています。

この検査は別に目新しいものではなく、季節型インフルエンザの診断のために数年前から使用されて来たものです。
昨日の新聞(朝日新聞・夕刊 2009.5.21)にも「簡易検査は判定に限界、発症初期、反応出にくく」というタイトルで記事が載っていました。
一部、内容があやしいところもあります。
新聞での医療記事は意外と間違った記載があるものです。
専門家の校正を受けてないからです。

たとえば
「分析した国立感染症研究所によると、発症後、検査まで0~4日だった。検査までの期間が短いことが影響したかもしれない」

しかし、その前の文面は、1日(24時間)以内では体内にウイルスが増えないため、感染しても陽性反応が出ないことが多いというもの。

4日では判定には十分の時間でむしろウイルス量が減って陰性に出てしまうこともあるタイミングです。

新型インフルエンザ患者は陽性反応が少ないという報告もあり・・・」
これがもし事実なら、水際作戦の検査法としては問題点が浮き彫りになります。
そして、検査のタイミングによっては感染者も陰性となってしまう(偽陰性)という検査自体の限界があるわけですから、過信してはいけない検査法です。


以下、新聞記事より。
新型インフル感染者のうち、神戸市内の病院を受診し、遺伝子検査で感染が確定した43例を調べた結果、半分近い20例がA型陰性だった。
(それこそ簡易検査のタイミングはどうだったのでしょうか)
■米カリフォルニア州で入院が必要となった患者24例を調べたら、21%にあたる5例が陰性だった。
(同じ時期に同じ検体で簡易検査とPCR法の両方を検査した結果でない限り無意味です)

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出典 朝日新聞・夕刊 2009.5.21
版権 朝日新聞社


<番外編>
#患者数で地域分けて対応、自宅療養も認める…政府新方針
政府は22日、麻生首相と全閣僚による「新型インフルエンザ対策本部」の会合を開き、新型インフルエンザが弱毒性であることを踏まえた新たな「基本的対処方針」を決定する。

今後の対策を感染拡大の防止と糖尿病などの持病があり重篤化する恐れのある人の感染防止・治療に集中する。

焦点となっていた休校措置の緩和や一般医療機関での受診については、厚生労働相が別途「運用方針」を定め、患者数に応じて地域を二つに分類し、それぞれの地域で講じるべき対応策を規定した。大阪、兵庫のような患者数が急増している地域では一般の医療機関での診療や自宅療養を認めるなどとしている。

読売新聞が入手した新たな基本方針案では、新型インフルエンザが、軽症のまま回復していることなどから、季節性インフルエンザと類似する点が多いと分析した。
ただ海外で基礎疾患がある人が死亡する例があることを指摘し、「国民生活や経済への影響を最小限に抑えつつ感染拡大を防ぐとともに、基礎疾患を有する者らを守るという目標を掲げることが適当」と明記した。

厚労相が定めた運用方針で分類した二つの地域は「患者が少数で感染拡大防止に努めるべき地域」と「急速な患者数の増加が見られ重症化の防止に重点を置くべき地域」で、前者は従来の対処方針とほぼ同様の対応だが、後者は大阪や兵庫などの要望の一部を盛り込み、現行の制限を大幅に緩和した。

一方、地域ごとの対策とは別に水際対策も大幅に縮小する。
メキシコ、米本土、カナダからの旅客便の一律の機内検疫は終了し、患者の周辺にいた旅客の停留措置も行わない。さらに、新型インフルエンザかどうかを調べる遺伝子検査は、新たな地域の患者発生把握を重視し、患者が未発生の地域の検体を優先して調べるとした。

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出典 読売新聞 5月22日3時14分配信
版権 読売新聞社