新型インフルエンザワクチンは安全か? その1

高齢者を主体に新型インフルエンザワクチン禍の報道が相次いでいます。
しかも死亡例ですから問題は深刻です。
私は以前からこのワクチンの安全性については懸念を抱いていました。
やっぱり、という感想です。

当院にも医療従事者用のワクチンは届いていますが、私や職員(ナース)も実際には接種していません。
この理由はリスクとセイフティ、つまりメリットとデメリットが自分自身でまだよくわからないからです。

自分自身にさえいまだに打たないワクチンを他人には打てません。
したがって現時点でまだ誰にも接種していません。

昨日、持病に肺気腫のある老婦人が風邪で来院されました。

患者さん「新型インフルエンザワクチンの予約をしているんですが、いつ頃に打てるんでしょうか」
私「新聞をご覧になりましたか? 結構ワクチンによる死亡の報道がされています。呼吸器の病気のある方に集中しているようです。あなたのような方は打たないほうがいいかも知れませんよ。」
患者さん「新聞をとっていないので知りませんでした。そんじゃキャンセルします。」
私「それがいいですよ」


マスコミもワクチン供給不足をあおるばかりで安全性についての報道は余りしません。
有効性についても取り沙汰されませんが、有効性が未知ならまだしもワクチン接種で死亡するということなら問題はとても深刻です。



新型インフル:ワクチン接種後に死亡、計8件に

厚生労働省は18日、新型インフルエンザのワクチン接種後の患者死亡報告が新たに4件あったと発表した。
死亡例は、これで計8件になった。いずれも基礎疾患のある60~80代の患者で、主治医の所見では接種と死亡の因果関係が強く疑われるケースはないという。
今後、専門家で詳細に検証する。

厚労省によると、死亡したのは
富山県の80代男性(脳梗塞=こうそく、肺炎で入院中)
滋賀県の80代男性(肺気腫胃がんで自宅療養中)
▽栃木県の60代男性(肝がんで入院中)
静岡県の70代女性(腎不全で透析治療中)。

4人は10月21日~今月13日にワクチン接種を受けていた。
通常副作用が起こるとされる接種30分以内では異常がなかったが、その後に容体が悪化した。

栃木県の男性のケースは、主治医が「体内でのがんの破裂が死因でワクチン接種との関連はない」と報告した。
残りの3件は「評価不能」とされている。
出典 毎日jp 2009.11.18
版権 毎日新聞社

<コメント>
「主治医の所見では接種と死亡の因果関係が強く疑われるケースはないという。」・・・
皆さん、この報道を信じますか?
こんな言葉で片付けられては故人が浮かばれません。

そのうち新型インフルエンザ罹患による死亡数よりワクチン接種による死亡数が凌駕することを私は心配しています。
ハイリスクの人には接種自体がハイリスク、健康な人には接種不要。
こんな考え方が何故できないのでしょうか。

「健康な人にも死亡例がある」という不安に対しては「一定のリスクを侵してワクチン接種をすれば死亡から免れられるのですか」という言葉をお返しします。

行政はともかく今こそ接種側の良心と判断が試されているのではないのでしょうか。
当院もすでに多くの予約をいただいており頭を抱えているところです。

当面ハイリスクの患者さんへの接種は控えるように指導するスタンスで行きます。
健常人での死亡例の報告はないのですから。
今のところ・・・。


新型インフルエンザワクチン関連サイト>
大瓶ワクチン返品
新型インフルエンザ用ワクチンの大瓶容器(10ミリ・リットル)が、開封後24時間以内に使い切る必要があるため、厚生労働省は17日、大瓶の出荷を来年1月から中止、小瓶(0.5~1ミリ・リットル)だけにする方針を打ち出した。
ただ、小規模な診療所では、残った分を廃棄したり、未開封のまま卸業者に返品したりするケースもあり、当面はこうした状態が続きそうだ。

宮城県内でも、持病のある中学3年以下の子供に対する優先接種が18日から始まり、県は「小児科診療所には最低でも大瓶2本、小瓶30本」との原則でワクチンを配分。
厚労省は、余ったワクチンは廃棄するよう指導する。

ある小児科医院の医師は「診療の合間にワクチン接種をやっている。集団接種で患者を集めたりしない限り、24時間で使い切るのは無理」と困惑する。
別の小児科医院の医師は「要望したワクチンの7割しか届いていない一方で、余ったら『捨てろ』というのは本末転倒。一律にワクチンを送る県は無責任」と憤る。

県によると、複数の医療機関が「使い切れない」と大瓶を使わずに返品してきたため、県は今後、こうした医療機関には小瓶だけを送るようにするという。

また、県は「余った場合は未接種の対象者に回すなどしてほしい」との立場だが、他県では使い切れないワクチンを対象外の子供らに接種させ、問題となっている。
出典 読売新聞 2009.11.19
版権 読売新聞社
<コメント>
大瓶ワクチンについては最初から予想されていたことです。
余ってしまうということがニュースとなっていますが、衛生面で問題があるという医学的なことの方が当初から指摘されていました。


新型ワクチン「安全性に疑問」、米医療団体が接種差し止め求め提訴
米ニューヨーク(New York)の医療関係者らは15日、米当局が進める新型インフルエンザA型(H1N1)の予防ワクチン接種プログラムについて、ワクチンの安全性を確認する臨床試験に問題があるとして中止を求める訴えを起こした。

医療関係者らは、「適切に臨床試験を受けたワクチンは1つもない」と主張。当局はワクチンの有効性と安全性が十分に確認される前に一般市民への予防接種を行うべきではないとして、ワシントンD.C.の連邦地方裁判所に接種の一時差し止めを求めた。

一方、米国立衛生研究所(US National Institutes of Health、NIH)は、ワクチンの臨床試験は8~9月に実施され、その結果、十分な耐容性があり、健康な成人の場合は1回の接種で効果的な免疫反応が得られることが確認されたとしている。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2653361/4759951
出典 AFP BBNews 2009.10.16
<コメント>
きょうのブログを読まれた方は「接種する医療側がこんな内容を書くとは何事だ」と起こられている方も多いのではないでしょうか。
しかし、このワクチンの光と影を知識として持っていることはとても大事なことと思い勇を奮って書きました。
「ワクチンの光」の実際は今の時点では実ははっきりしません。
今後明らかになることと思います。



イメージ 1


「晩秋」2009.11.15撮影


<きょうの一曲>
モーツァルト ホルン協奏曲第1番
http://www.youtube.com/watch?v=nCE6-3RkNjY



読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
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