新型インフルエンザ次世代型治療法

新型インフルエンザ次世代型治療法(2)~蓄膿症の薬(抗菌剤)でマクロライド療法
新型インフルエンザの重症化例が増えてきているが、その治療方法にも新たな選択肢が増えてきている。
マクロライド療法とは、本来抗生物質(抗菌剤)としてのマクロライド(エリスロマイシンやクラリスロマイシンなど)の新作用である抗炎症作用を活用した治療法のことである。
■既に蓄膿症(慢性副鼻腔炎)や非小細胞肺癌、び慢性汎細気管支炎の治療などに使われている。
ステロイドなどの免疫抑制剤ほどの強い副作用はなく、少量で長期投与できるということで、特に日本国内での利用が多いとのことだ。
■このマクロライド療法が、新型インフルエンザの重症例の治療の選択肢として提案されている。
■インフルエンザの重症化は、ウイルス自体によるものではなく、多くがサイトカインなどの自己免疫機能の過剰反応によるものとされている。
■現状でもプレドニンステロイド)などの免疫抑制剤によるパルス療法などが行われているが、タミフルなどの抗ウイルス薬と合わせてマクロライドをマウスに投与したところ死亡率が改善したとのこと。


#インフルワクチン、「次世代」開発を支援へ…厚労省
厚生労働省は、鼻にスプレーしたり、肌にシートを張り付けたりする新しいタイプのインフルエンザワクチンの実用化を支援する。
■製薬会社の開発や、臨床試験の費用を補助して、3年後の実用化を目指す。
今年度の第2次補正予算案などで50億円を計上した。
■「第3世代ワクチン」と呼ばれるもので、鼻スプレータイプは、米国などで一部使われている。
従来の注射タイプに比べて痛みがなく、簡便で、効果も高い。肌に張るタイプのほか、飲み薬などを想定している。
■また、こうした次世代ワクチンのほか、通常のワクチンの効果を高める免疫増強剤なども支援の対象にする方針だ。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=19156
出典 読売新聞 2010.1.12
版権 読売新聞社


<番外編> 新型ワクチンで死亡の可能性=副作用で初、新潟の80代女性-厚労省
厚生労働省は29日、新型インフルエンザの国産ワクチンを接種した新潟県の80代女性が、ワクチンの副作用で死亡した可能性があるとの報告を受けたと発表した。
同省は複数の専門家に検証を依頼する。
■同省によると、女性は高血圧や心臓病の持病があった。
ワクチンを打った主治医は女性の死亡について、持病が悪化した可能性と、接種に伴うショック症状「アナフィラキシーショック」の両方が原因として考えられるとした上で、「ワクチンとの因果関係がある」と報告したという。
新型インフルのワクチン接種後の死亡報告は117件あるが、死亡との因果関係があるとされたケースは初めて。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100129-00000310-jij-soci
出典 時事通信 2010.1.29
版権 時事通信社
<コメント>
主治医の勇気(?)に敬意を表します。
今までの117例も「関連性は否定できないが因果関係があるとまでは断定できない」という判事の判決文まがいの解釈でした。
今までのケースとどこが違うのか是非とも詳細を公開していただきたいものです。



イメージ 1

(画像をクリックすると拡大します)
出典 日経新聞・夕刊 2010.1.22
版権 日経新聞



以下は
医療介護CBニュース 2010.1.29
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100129-00000011-cbn-soci
の記事からです。

■女性は26日のワクチン接種後30分間は副反応が見られなかったが、接種約40分後、帰宅途中で路上に倒れ、応答のない状態で発見された。
その後、自動体外式除細動器を使用するなどしたが、「電気ショック不要」との応答があった。
さらに、気管内挿管下で心肺蘇生などを開始し、救急車で医療機関に搬送したものの、死亡が確認された。
■主治医の報告では、「臨床医経験の範囲内」で、暖房下の室内から寒冷の戸外へ出たことによる致死的不整脈や、潜在の深部血栓による肺塞栓の可能性も否定できないとされた。
一方で、倒れたのがアナフィラキシーショックを起こしやすい接種後30分を少し過ぎた時間とみられることから、ワクチン接種との因果関係がある可能性もあるとして、「関連あり」と報告したという。
■医薬食品局安全対策課の佐藤大作・安全使用推進室長は29日の記者会見で、「これまでも、接種当日に心不全を起こした死亡例の報告もある。(今回の事例と)似たようなものもある」と指摘した。一方で、「われわれが因果関係を評価できるわけではない」とも述べた。
■接種後の死亡例の報告は27日までに117例。今回の事例以外はすべて「関連なし」か「評価不能」と主治医が報告している。
<コメント>
「評価不能」は「因果関係あり」と翻訳できます。

「われわれが因果関係を評価できるわけではない」・・・
ある時は医師の資格があるように振る舞い、またある時は医師の資格がないことを強調する官僚達。
彼らの狡猾さには辟易とします。
常々、医師の資格も医学的知識も持ち合わせない彼ら厚生官僚に我々医師が医療行政を通して自在に操られて来た理不尽さ。
医師の資格を持つ厚生技官も医療経験に乏しく血の通った医療というものを知りません。




<自遊時間>
昨日、鳩山首相の初の施政方針演説が行われました。
国会中継を見られた方も多かったのではないでしょうか。
夕刊の新聞には辛口の見出しが踊っていました。

情緒的「いのち」24回言及
山積みの課題、具体策欠く
「現実」抽象論でフタ
「痛み」伴う問題提起回避

「いのちを守りたい」と声をひっくり返してまで強調した割には医療については触れていません。
羊頭狗肉にならないように祈るばかりです。

マハトマ・ガンジーの「7つの大罪」を引用し、「労働なき富」を挙げています。

まさに「あなたに言われたくない」です。








読んでいただいて有難うございます。
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