冬の乾燥肌とかゆみ

毎年冬になると高齢者の方を中心に皮膚のかゆみを訴える患者さんが増加します。
当院は内科ですが、内科の病気の診察のついでにそのことを訴えられます。
高血圧や糖尿病で通院している方の多くはその病気自体の症状はありません。
そのような方には、かゆみの症状が当面の一番の悩みということになります。
皮膚科でなくとも対処出来ることなので出来るだけ適切なアドバイスをするように心がけています。
もちろん当院で処方している薬剤が原因のこともありえますから、そのことは常に念頭に置いておく必要があります。

以下はサイトからの引用です(一部改変)。

##かゆみの原因、冬の乾燥肌を防ぐセルフケア
#肌が乾燥するとかゆみが起こるのはなぜ
冬になるとすねや腕がかゆくてたまらないという人、結構多いのではないでしょうか。
その原因の多くは肌の乾燥です。
特に高齢者は加齢によって皮脂の分泌が少なくなって肌が乾燥しやすいため、かゆみに悩まされる人が多いのですが、最近では、若い人にも乾燥によるかゆみを訴える人が増えています。
一般に冬の皮膚のかゆみは、寒さが強まるほどひどくなる傾向があります。

かゆみが起こりやすいのは皮膚が乾燥しやすいすねや太もも、腕、わき腹、腰などで、かさかさして白く粉を吹いたようになります。
なぜ皮膚が乾燥するとかゆみが起こるのでしょうか?
 
健康な肌の場合、肌の表面に近い角質層の細胞の中の天然保湿因子(アミノ酸)や角質細胞間の脂質(セラミド)が水分をしっかり保つとともに、汗と皮脂が混ざり合ってできた皮脂膜が表面を覆って水分の蒸発を防ぎ、さまざまな刺激から肌を守っています。

しかし乾燥によって角質層の脂質や水分が失われ、細胞間にすき間ができて粗くなり、外からの刺激を受けやすくなります。
そこへ、本来なら肌の深部にある、かゆみを感じる神経が表面まで伸びてきて、外からの刺激を直接受けるため、かゆみを感じるようになります。
また、その神経は外からの刺激を受けると、かゆみを引き起こす「ヒスタミン」の放出を促すように働くため、さらにかゆみを生じやすくなります。
かゆいからと皮膚をかくと、その神経を刺激してますますかゆくなる悪循環におちいることになります。
このように何の病変も伴わず単純に皮膚がかゆくなるといった状態は「皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)」と呼ばれ、一般的に中高年・高齢者、しかも男性により多い症状とされています。
中高年の男性などは一般に女性に比べて肌に無頓着な傾向がありますから、もともと肌荒れもしやすい状態になっていることも関係がありそうです。
基本的に冬の皮膚のかゆみは、暖房で部屋の空気が乾燥して皮膚の表面から水分が蒸発し、肌のうるおいが失われます。
同時に冬場の冷たい空気にさらされることで末梢血管が収縮し、血液の循環も悪くなり皮脂の分泌が低下します。
そのため冬の皮膚のかゆみは、年齢や性別を問わずに起きることになります。
男性はもともと女性よりも「皮脂」が多く分泌されるのですが、皮脂は実は肌のうるおいを保ち、かゆみを防ぐ役割も果たしています。
とりわけ手のひら・足のうら・腕の内側やすねのあたりなどは、もともと皮脂が不足しがちな部位でもあるために、強くかゆみを感じることが多くなります。

肝臓や腎臓など内臓疾患の一症状として起きる深刻なケースもありますが、内科通院中の方ではそういった病気の見落としはありません。


#若い人は洗いすぎが原因
年をとると肌の新陳代謝が低下するため、肌の潤いを保つ天然保湿因子、角質細胞間脂質、皮脂膜などが減少して皮膚が乾燥しやすくなります。

高齢者にかゆみが生じやすいのはそのためですが、若い人のかゆみの原因は「洗いすぎ」と考えられます。

冬なら毎日体全体を石けんで洗う必要はありません。
お湯につかるだけでも体の汚れの大部分は落ちるので、皮脂分泌の多い部分は毎日洗い、乾燥しやすい部分は週に1~2回というように、メリハリつけて洗いましょう。
皮脂の多い背中や胸の中心部、汚れやすい手足や股、首、顔などは毎日石けんで洗い、ほかの部分は人にもよりますが、週に一度でも十分でしょう。

石けんはよく泡立てて、手のひらや刺激の少ない木綿のタオルでやさしく洗い、皮脂を奪う熱いお風呂や長湯は避けましょう。
入浴後はすぐに水分をふきとり、ローションやクリームでしっかり保湿して下さい。

また、かゆい箇所をかきむしることで、皮膚の表面にあって皮膚を保護する角質層が、はがされてしまいます。
そうして防御機能が弱まったむきだしの肌は、さらに外部の刺激に対して敏感になるために、かゆみが耐え難いものになってくるという悪循環を引き起こします。
さらには爪が汚れた指で強くかきこわしているとむきだしの皮膚から雑菌が入り、二次感染を引き起こす可能性もあります。

#かゆみを防ぐセルフケア
入浴以外に、かゆみの原因となる冬の乾燥肌を防ぐセルフケアのポイントを紹介しましょう。

1.保湿剤をこまめに塗る
尿素、ワセリン、セラミドなどが配合された保湿ローション・乳液などの保湿剤がよく使われており、医療機関で処方してもらってもよいし、薬局でも手に入る。実際に試して、自分に合うものを見つけましょう。
入浴後、肌がしっとりしているうちに塗るのが効果的です。
かゆみがどうしてもおさまらないときは、医療機関抗ヒスタミン剤や副腎皮質ホルモン軟膏などを処方してもらうほうがよい場合があります。

2.暖房は控えめにして加湿する
エアコンは冬の乾燥した空気をさらに乾燥させる。
設定温度は低めにして、加湿器を使う、水を入れた器を部屋に置く、洗濯物を室内に干すなど、加湿を心がけて下さい。
湿度50~60%以下にならないように気をつけます。
室内の湿度を確保することで体感温度が下がりにくくなるため、暖房効果も高まります。
かゆみ対策だけでなく、暖房費節約や静電気対策といった副次的効果もあって、部屋の乾燥を防ぐことにはいろいろとメリットが生まれます。

3.香辛料やアクの強いものはとりすぎ注意
香辛料、ほうれん草やたけのこ、さといもなどアクの強いもの、トマト、イチゴ、チョコレートなどは、かゆみを起こしたり強めることがあるので食べすぎないようにします。
アルコールも同様。

4.ストレスをためず睡眠を十分とる
肌の新陳代謝は睡眠中やリラックスした状態で活発になる。
寒い冬はただでさえ新陳代謝が低下するため、睡眠不足や不規則な生活、ストレスは避けて下さい。
運動、栄養バランスにも気を配る必要があります。

かゆみが強い場合やかきむしって湿疹ができたときには塗り薬が必要です。
また、かゆみは乾燥肌以外にも、じんましんやアトピー性皮膚炎、糖尿病や腎臓病などの内臓の病気が原因で生じる場合があります。
かゆみの原因が何であろうとも「かゆみが強いときは、かきすぎない(かきこわさない)」ようにすることが大切です。

皮膚がかゆくなる原因としては、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎・アレルギー性じんましんなど、発生原因が特定のアレルギー物質によるものもあります。
以上の対処で良くならない場合には医療機関を受診して下さい。

<参考および引用サイト>
かゆみの原因、冬の乾燥肌を防ぐセルフケア
http://health.goo.ne.jp/column/woman/w002/0021.html
(監修;高森建二先生 順天堂大学浦安病院院長)

年齢・性別を問わず起きる冬の皮膚のかゆみ~その原因は
http://johowinteritch.azalio.com/



<番外編>
新型インフル対策奏功か、12感染症が激減
国立感染症研究所が調べている14種類の感染症(定点把握疾患)のうち、感染性胃腸炎水ぼうそうなど12種類の報告件数が今冬、激減していることが明らかになった。

最近では異例の現象で、新型インフルエンザ流行に備えた手洗いなどの予防策が、減少につながった一因と考えられるという。

定点把握疾患は感染症法に基づき、全国各地の指定医療機関が毎週報告している。最新週(11月30日~12月6日)の報告件数を感染研で調べたところ、ノロウイルスなどが原因で秋冬に流行する感染性胃腸炎が、過去5年間の同時期の平均に比べ、73%も減っていた。水ぼうそうマイコプラズマ肺炎はともに27%、突発性発疹も17%減るなど、計12種類が例年を下回っていた。

インフルエンザについては、新型が流行したのとは対照的に、季節性の報告件数は6日までの5週間でB型の1件だけ。
ソ連型とA香港型はゼロだった。

同研究所感染症情報センターの安井良則・主任研究官は「新型インフル予防のために手洗いやマスクを着用したことが、ほかの感染症予防にも効果があったのかもしれない。小さな子どもを持つ親たちが、医療機関で新型に感染することを恐れて受診をためらった可能性もあり、さらに分析したい」と話している。
出典 読売新聞 2009.12.22
版権 読売新聞社
<コメント>
確かに例年今の時期に大流行する「胃腸かぜ」はまったく流行りません。
「季節性の報告件数は6日までの5週間でB型の1件だけ」ということですが、これは現在の簡易検査を使用するかぎりB型でないと季節型と診断できないためです。
B型が検出されたということは、すでにA型の季節性インフルエンザの流行期に入ったと解釈すべきです。


<きょうの一曲>
Faith Hill - Little Drummer Boy
http://www.youtube.com/watch?v=eVtNwLIjKJ4&feature=related



読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(H20.5.22~)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(H19.8.3~)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)