インフル脳症が急増

インフルエンザ脳症は、体内で増えたウイルスに体の免疫が過剰反応し、脳が腫れて意識障害を起こすとみられています。
そのインフルエンザ脳症が増加しているという報道が最近ありました。
届け出が増加した背景について、専門家は、新型インフルエンザは肺炎を引き起こすことにより、体内のウイルス量が増えやすい可能性があることや、脳症への関心が高まっていると分析していますがはたして真相はどうなんでしょうか。


##インフル脳症が急増 子どもへの新型の感染拡大影響か
インフルエンザ脳症の患者が昨年7月以降、285人にのぼることが国立感染症研究所の調べでわかった。
例年の報告数は年間50人前後。
新型の豚インフルエンザの流行で、脳症を起こしやすい子どもに感染が広がっていることや、医療現場の関心も高まり、報告する医師が増えている可能性もある。

285人のうち、新型の感染が判明したのは240人(84%)。
インフルエンザ脳症は例年は4歳以下に目立つが、今回の報告では5~9歳が最も多く、人口100万人あたり25人と、昨季(1.9人)、一昨季(3.2人)に比べ急増していた。
0~4歳は100万人あたり12.1人。
昨季、一昨季はそれぞれ2.2人、4.2人だった。

新型と診断され、詳しい経過などがわかった118人のうち、96人(81%)は後遺症なく回復していた。
ただ、8人(7%)が亡くなり、運動まひなどの後遺症が残ったのは14人(12%)。
同研究所は「引き続き注意深く対応していく必要がある」としている。
http://www.asahi.com/special/09015/TKY201002090125.html
出典 朝日新聞・朝刊 2010.2.9
版権 朝日新聞社

<コメント>
2月は本来、季節性インフルエンザが大流行する時期です。
一般の医療機関では新型インフルエンザとの区別もできないため、簡易検査でA型が陽性になった場合には「多分、新型インフルエンザでしょう」といったあいまいなお答えしか出来ません。
今回のこの報道でも84%が新型と判明したということですが、重症のケースしかこの確定診断はされません。
季節性インフルエンザは皆無に近いということになていますので、残りの16%を含めたほぼ100%が新型インフルエンザということになります。
したがって、「新型インフルエンザはインフルエンザ脳症を起こしやすい」ということが考えられます。



<番外編>
#骨髄細胞使い脳梗塞治療 東北大など米で臨床試験
脳梗塞(こうそく)の患者に、骨髄の細胞から作った神経のもとになる細胞を移植する治療法を、東北大の出沢真理教授らが開発、ネズミで効果を確認した。
ピッツバーグ大と共同で米食品医薬品局(FDA)に臨床試験計画を申請した。
臨床試験は年内にも米国で始める予定だ。

グループは骨髄細胞にノッチと呼ばれる遺伝子の一部を導入し、特殊な方法で培養。
さまざまなタイプの神経細胞に分化する能力をもつ神経前駆細胞の作製に成功した。
ネズミの脳で血流を一時的に止めて人工的に脳梗塞の状態にした後、この神経前駆細胞を移植した。

すると、移植した細胞は脳内のさまざまな場所に移動、神経細胞に分化した後、新たな神経回路もつくった。
脳梗塞を起こしたネズミは、水槽の中の足場を覚える能力が落ちたが、移植後にはかなり回復することも確認できた。

脳細胞が損傷した場合の治療法としては、胎児の細胞やES(胚性幹)細胞から神経細胞を作って移植する方法も研究されているが、拒絶反応や倫理上の課題がある。
iPS(人工多能性幹)細胞はがん化の恐れが残る。

出沢教授は「骨髄の細胞は患者本人から採取でき、よく増える。骨髄移植の実績からもがん化の恐れは低く、安全性は高い」と話している。
http://www.asahi.com/science/update/0209/TKY201002090272.html
出典 朝日新聞・朝刊 2010.2.9
版権 朝日新聞社



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ラウル・デュフィ 植物誌:花束 ポジョワール 1951年
http://www.suiha.co.jp/cms/work.cgi?ano=1150961330&wno=1245297975


<自遊時間>
ある日の新聞広告で新井満(著)の「老子」と「般若心経」が手頃な文庫本で紹介されていました。
早速手に入れて読み始めています。







読んでいただいて有難うございます。
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