「健康」でも発症 くも膜下出血 たばこ・高血圧が危険因子
何の前触れもなく突然襲ってくるくも膜下出血。3人に1人の割合で死亡する、怖い脳血管系の病気だ。生活習慣などに気をつければ、発症リスクを下げられるのだろうか。
動脈の瘤が破裂
くも膜下出血は脳を覆うくも膜の内側で動脈にできた小さな瘤(こぶ)が破裂して起きる。
短時間に大量出血してしまうため、破裂の場所が悪いとほとんど即死状態。
たとえ助かっても手足のまひといった後遺症が出ることが多い。
年間の死亡者数は1万5000人前後で、発症頻度や死亡率はこの20年、あまり変わっていない。
くも膜下出血は脳を覆うくも膜の内側で動脈にできた小さな瘤(こぶ)が破裂して起きる。
短時間に大量出血してしまうため、破裂の場所が悪いとほとんど即死状態。
たとえ助かっても手足のまひといった後遺症が出ることが多い。
年間の死亡者数は1万5000人前後で、発症頻度や死亡率はこの20年、あまり変わっていない。
同じ脳卒中のなかでも、加齢とともに発症しやすくなる脳梗塞や、高血圧と強いつながりのある脳出血に比べて、治療や予防が難しい。
30代でも発症、男性では40代、50代に多い。
脳動脈瘤がなぜできて、どのように大きくなり、何をきっかけに破裂するのか、ほとんど医学的に解明されていない。
30代でも発症、男性では40代、50代に多い。
脳動脈瘤がなぜできて、どのように大きくなり、何をきっかけに破裂するのか、ほとんど医学的に解明されていない。
インターネット上にはよく「発症前、バットで殴りつけられたようなひどい頭痛に見舞われた」といった体験談も紹介されているが、こうした前兆がいつも起きるのかどうかもよくわかっていない。
ただ、疫学研究からはいくつかの危険因子がわかっている。
一つがたばこ。
厚生労働省研究班の大規模調査では、40代、50代のくも膜下出血発症率は、たばこを吸う人では吸わない人に比べ男性で3.6倍、女性で2.7倍。脳梗塞などに比べても高かった。
一つがたばこ。
厚生労働省研究班の大規模調査では、40代、50代のくも膜下出血発症率は、たばこを吸う人では吸わない人に比べ男性で3.6倍、女性で2.7倍。脳梗塞などに比べても高かった。
過度の飲酒や高血圧もよくない。
喫煙者で酒好きの人は発症リスクが6倍に跳ね上がるとのデータもある。
喫煙者で酒好きの人は発症リスクが6倍に跳ね上がるとのデータもある。
京都大学の研究グループは、モデルラットを使った比較実験で、スタチンによって動脈瘤の増大を抑えることを突き止めた。
投与しない場合は3カ月で大きさが平均1.6倍になったが、投与すると5カ月たっても変わらなかった。研究を担当した青木友浩・日本学術振興会特別研究員は「血管壁で炎症反応を抑えたからだろう」とみる。
投与しない場合は3カ月で大きさが平均1.6倍になったが、投与すると5カ月たっても変わらなかった。研究を担当した青木友浩・日本学術振興会特別研究員は「血管壁で炎症反応を抑えたからだろう」とみる。
発見率は高く
この動物実験での成果が人にもあてはまるかを検証するため、滋賀医科大学の野崎和彦教授らは2009年臨床研究をスタートさせた。
未破裂の脳動脈瘤がある患者集団と、くも膜下出血を起こした患者集団との間で、スタチンの服薬歴に差があるかどうかを比較する。
この動物実験での成果が人にもあてはまるかを検証するため、滋賀医科大学の野崎和彦教授らは2009年臨床研究をスタートさせた。
未破裂の脳動脈瘤がある患者集団と、くも膜下出血を起こした患者集団との間で、スタチンの服薬歴に差があるかどうかを比較する。
将来的には未破裂患者を2集団に分けて、スタチンを予防的に投与するか否かで、くも膜下出血の発症を防げるかをみる予定だ。
確立した対処法としては予防手術しかない。
開頭して瘤の根本を金属製クリップで挟み込む外科的手術と、足の付け根から細管(カテーテル)を挿入し瘤のなかを微細なコイルで詰める血管内治療とがあるが、死亡や後遺症といった合併症率は1~2%と決して低くない数字だ。
脳ドックを受けて動脈瘤が見つかり、精神的に大きな負担となるケースも少なくない。
開頭して瘤の根本を金属製クリップで挟み込む外科的手術と、足の付け根から細管(カテーテル)を挿入し瘤のなかを微細なコイルで詰める血管内治療とがあるが、死亡や後遺症といった合併症率は1~2%と決して低くない数字だ。
脳ドックを受けて動脈瘤が見つかり、精神的に大きな負担となるケースも少なくない。
脳ドック受診の是非は専門家でも割れる。
ただ、NTT東日本関東病院の森田明夫・脳神経外科部長は受診の意義について「くも膜下出血が起きやすい体質かどうかわかれば、たばこや過度の飲酒を控えるなど対処も可能。将来的にはスタチンの投与で防げるかもしれない」と話している。
ただ、NTT東日本関東病院の森田明夫・脳神経外科部長は受診の意義について「くも膜下出血が起きやすい体質かどうかわかれば、たばこや過度の飲酒を控えるなど対処も可能。将来的にはスタチンの投与で防げるかもしれない」と話している。
<私的コメント>
当院にも、クモ膜下出血にかかった患者さんが高血圧の治療などで元気に通院してみえます。
いずれも手術をされた方ですが、こういった方は生き残った方です。
心筋梗塞もそうですが、病院に到着する前に命を落としてみえる方も多いのです。
出血予防のための脳動脈瘤の手術の適応(手術するか様子をみるか)には難しいところがありますが、脳動脈瘤の診断自体は、いまやMRAで簡単に出来る時代です。
当院にも、クモ膜下出血にかかった患者さんが高血圧の治療などで元気に通院してみえます。
いずれも手術をされた方ですが、こういった方は生き残った方です。
心筋梗塞もそうですが、病院に到着する前に命を落としてみえる方も多いのです。
出血予防のための脳動脈瘤の手術の適応(手術するか様子をみるか)には難しいところがありますが、脳動脈瘤の診断自体は、いまやMRAで簡単に出来る時代です。
<きょうの一曲>
Astrud Gilberto MAS QUE NADA in Japanese - 1969
http://www.youtube.com/watch?v=6VCYsaJx05Y&feature=related
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読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
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