大人の百日咳が流行?

##百日咳が大人にも流行中。症状、予防法、治療法は?
なかなかおさまらない長引く咳。
たかが風邪と思っていたら、それはもしかする と、百日咳の可能性も考えられる。
風邪、インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎など、咳の出る疾患は少なくないが、百日咳は、発作性けいれん性の咳が長期にわたって持続するのが特徴だ。
年間を通じて発生するが、春から夏にかけてやや多くなるので注意が必要だ。

2007年には香川大学で300人近い大規模な集団感染が発生したり、青森県内の消防署でも百日咳の集団感染が起きたことも記憶に新しい。
2000年以降で最も発症数の多かったのが07年で、3月30日までの約3カ月間の患者数は累計689人だったのだが、今年はそれを上回る勢いで猛威を振るっている。
国立感染症情報センター感染症発生動向調査によると、全国3000カ所の小児科から報告された患者数は、3月30日までの約3カ月間(1週~13週)に計851人に達しているのだ。

また、これまで子供や乳幼児の疾患だと思われていた百日咳だが、20歳以上の報告割合が年々増加している。
2000年には5%にも満たなかったのに、07年には患者全体の36.5%が20歳以上という増え方だ。

これは小児科におけるデータなので、特に成人における発生状況については、ごく限られた情報しか得られていないのが現状。
実際の数はもっと多いと可能性がある。
百日咳は「百日咳菌」の気道感染によって引き起こされる感染症
感染した人の咳やくしゃみによって、唾液などの飛沫と共に放出された百日咳菌を吸い込み、のどや鼻の粘膜から感染する。
また、患者の手指や患者の触れたものを介して接触感染することも考えられる。

通常、感染後、7~10日間の潜伏期間を経て発症する。
症状は次のように進行する。


#咳、くしゃみなどの軽い風邪のような初期症状
1 カタル期 (約2週間)
咳、くしゃみなど、軽い風邪のような症状で始まり、次第に咳の回数が増えていく。
合併症がない限り、発熱はない。初期は感染力が強い。

2 痙咳(けいがい)期 (約2~3週間)
次第に、激しく咳き込んだあと、息を吸い込むときに笛を吹くような「ヒュー」という音が出る咳を繰り返すようになる。
しばしば咳き込んで嘔吐を伴う場合もある。
発症は夜間に多く、顔面ははれてむくんだような浮腫状に。
乳幼児では、このような特徴的なけいれん発作を示さずに、無呼吸発作からチアノーゼ、けいれん、呼吸停止へと進展する場合もある。
また、乳児では合併症として肺炎のほかに脳症を発症することもある。

3 回復期(2~3週間以上)
痙咳(けいがい)期が2~3週間続いた後、激しいけいれん性の咳は次第におさまり、発症してから2~3カ月程度で回復。
成人の場合は、咳が長い間続くものの、特徴的なけいれん性の咳がないこともあるため、百日咳と分からないことも多い。
だが、そのままにしておくとワクチン未接種の乳幼児に感染させる恐れがあるので注意が必要だ。


百日咳対策にはワクチンによる予防が最も効果的である。
1950年から百日咳(P)ワクチンは予防接種法によるワクチンに定められ、1958年からはジフテリア(D)と混合のDPワクチンが使われ、1968年からは破傷風(T)を含めたDPT三種混合ワクチンが広く実施されるようになったが、その普及とともに患者の数、特に乳幼児が発病する数は大きく減少した。
ではなぜ、大人に流行しているのだろうか。
一つには、DPT 三種混合ワクチンを接種していない人が感染しているケースがある。
また、ワクチンの免疫効果は5~10年程度と見積もられているため、ワクチンを接種していてもかかる人もいる。
さらに、大人の場合は乳幼児のような特徴的な症状が現われにくいのも感染が拡大している要因と考えられる。
軽い風邪と見過ごしている間に、周囲に感染させてしまっているケースもあるという。


http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080512/1010755/?ST=life&P=2
出典 BPnet2008.5.13(一部改変)
版権 日経BP





百日咳:平戸市内の中学で集団発生 31人が感染 /長崎
http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20100715ddlk42040457000c.html
(私的コメント;2010.7.14の最新ニュースです。中学生の時点で抗体が消失していることがわかりました。百日咳ワクチンも含まれた三混すなわちDPTは7歳半までに接種します。多くは2歳までに接種を終わっています。小学校6年で接種するのは二混で百日咳ワクチンは入っていません。ジフテリア破傷風すなわちDTなのです。厚労省はこの予防接種の接種時期や内容について早急に考え直すべきです。

百日咳患者の半数以上が成人、首都圏を中心に増加傾向
感染研、成人患者発生状況のデータベース登録への協力を呼びかけ
http://www.m3.com/iryoIshin/article/121956/?portalId=iryoIshin&pageFrom=openIryoIshin
(ちょっと専門的です)




イメージ 1

小杉 小二郎  セーヌ河畔 10号
http://www.sankeido.co.jp/schedule/h18/sansai.html





<きょうの一曲>
BEACH SAMBA - ASTRUD GILBERTO
http://www.youtube.com/watch?v=3nfKLB1Gxo0&feature=related




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