高齢者の高血圧

高齢者の高血圧 治療はゆっくり確実に

降圧目標2段階で設定可能
高血圧は、脳卒中心筋梗塞の発症と密接にかかわり、早期発見で脳・心血管疾患を防ぐことが重要となる。
70歳以上の高血圧患者を対象に、2008年3月まで4年かけて実施された大規模臨床試験の結果が6月に公表された。
日本高血圧学会の治療ガイドラインに提唱された高齢者の降圧目標値の安全性と妥当性が確認された。(福沢英里)

 
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2006年)によると、高齢者の高血圧の基準を「140/90mmHg」かそれ以上とすると、60代は6割、70歳以上になると7割が高血圧で、年齢とともに割合が増える。

高齢者の特徴は、動脈硬化が進んで血管が硬くなるため、上の(収縮期)血圧だけが高い「収縮期高血圧」になりやすいこと。
体の動きに応じて血圧を調節する働きが鈍くなるため、立ち上がるとふらついたり、1日のうちの上下幅が大きいことも挙げられる。

高齢者の血圧をどこまで下げるべきかを記した降圧目標=表=は、昨年改訂された日本高血圧学会の治療ガイドラインに「診察室血圧が140/90未満、(リラックスした状態で家庭で測る)家庭血圧が135/85未満」と明記されている。

イメージ 1


しかし、高齢者の場合、血圧を下げ過ぎると、かえって脳の血液循環が妨げられ、脳・心血管疾患発症の危険性が大きくなると指摘されてきた。
特に75歳以上は、まず「150/90未満を中間目標にする」とガイドラインでも注意喚起されている。

海外のガイドラインは、年齢に関係なく上の血圧を140未満まで下げるよう推奨。
ところが、高齢者を対象に140未満まで下げて調べた臨床試験は、これまでなされてこなかった。

今回の大規模臨床試験は、70~84歳の収縮期高血圧患者約3200人を対象に実施。
アンジオテンシン?鵺受容体拮抗薬(ARB)」と呼ばれる降圧薬を使って、降圧目標の140未満まで厳格に下げた場合と、140~150未満に緩やかに下げた場合とで、心血管疾患の発症率の違いを比較した。
その結果、発症率に大差はなかった。
大規模臨床試験の取りまとめを行った大阪府立急性期・総合医療センターの荻原俊男院長は「『150/90未満を中間目標にする』というガイドラインの妥当性が証明された」と解説する。

一方で、140に下げても心血管疾患の発症率が低かったため、高齢者でも140まで降圧しても安全であることが確認された。
程度が中等症、重症で、脳の動脈硬化など臓器障害を伴う高血圧では、まず150/90を中間目標にし、軽症の場合は140まで下げるといった、2段階での目標設定が可能となった。

この臨床試験で主に使われたARBは、血圧に関連するホルモンの「アンジオテンシン?鵺」の作用を妨げることで降圧する調査を始めて約3カ月で血圧は十分低下し、半数以上の患者がARBのみで、目標値まで下げることができた。

「従来は血管を拡張させる働きを持つカルシウム拮抗薬が第一選択薬で、効果がなければARBなどを併用してきた。ARBのみで安全に降圧できるなら、高齢者には朗報」と荻原院長は歓迎。
「血圧管理は健康維持に不可欠。家庭血圧を常に把握し、ゆっくり確実に目標の血圧値を目指してほしい」とアドバイスする。


食事の減塩も大切
高血圧の治療はまず食習慣の改善から。降圧薬を使って治療している場合、1日の食塩摂取量を6グラム未満(小さじ1杯)に抑えたい。

濃い味の食事に慣れている高齢者は、まずは減塩調味料を活用すれば手軽に減塩できる。

さらに、新鮮な食材で食品の持ち味を生かす
▽酢やレモンなどの酸味を利用する
▽ショウガ、ネギ、香辛料などで香りを付ける
▽昆布や煮干しで取っただしのうま味を生かす
-といった工夫で減塩も可能。

気を付けたいのは、チューブ入りのわさびやからしで意外と塩分が多く含まれる。
漬物やハムなど便利な加工食品にも塩分は多く含まれているので、過度な味付けはせず、食べ過ぎには十分注意したい。


出典 中日新聞・朝刊 2010.10.5
版権 中日新聞社



<自遊時間>
最近のテレビの一部には外付けハードディスクでお気軽に録画再生が出来る機能があります。
私もこれにはまってしまって、今まで契約だけしていてあまり活用していなかったWOWOWの番組を観るようになりました。
連休中は「素顔のままで」を観ました。

主演女優が随分熱演していたのでちょっとネットで調べてみました。
しかし何回チェックしてもボクサーしか出て来ません。
しばらくして気がついたのですが、「デミ・ムーア」を「デビー・ムーア」で検索していました。




ちなみにこの映画は駄作の折り紙付きになっているようです。
タイトルの「素顔のままで」も意味不明。
原題名はそのものズバリ。


17回ゴールデン・ラズベリー賞
受賞:最低作品賞
受賞:最低監督賞[アンドリュー・バーグマン
受賞:最低脚本賞
受賞:最低主演女優賞[デミ・ムーア
<*『陪審員』『素顔のままで』の2作での受賞>
受賞:最低スクリーン・カップル賞[デミ・ムーアバート・レイノルズ
受賞:最低オリジナル歌曲賞「Pussy, Pussy, Pussy (Whose Kitty Cat Are You?)」
http://www1.kcn.ne.jp/~pop/spcpm/razzie/striptease.html



イメージ 2







他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(H20.5.22~)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(H19.8.3~)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
「井蛙」内科メモ帖 
http://harrison-cecil.blog.so-net.ne.jp/
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)
「葦の髄」メモ帖
http://yaplog.jp/hurst/
(「葦の髄から循環器の世界をのぞく」のイラスト版です)
があります。