コーヒー、紅茶・緑茶に「脳卒中の予防効果」

忙しい人ほどコーヒーブレイクを。 コーヒー、紅茶・緑茶に「脳卒中の予防効果」あり!

「お茶の時間」を楽しむ余裕が健康をもたらす!?
食後や仕事の合間のティータイムは、忙しい毎日の中でもホッとできる一時です。
このリラックスする時間にコーヒーやお茶を楽しむことは、カラダとココロをリフレッシュさせるだけでなく、脳卒中の予防にも役立つかもしれません。

最近、コーヒー、紅茶、緑茶を飲む習慣が脳卒中のリスクをかなり低下させることを示す、3つの研究結果が報告されました。

もしかすると、コーヒーはむしろ脳卒中のリスクを増加させるのではないかと思っている方も少なくないのではないでしょうか?

確かに、かつてコーヒーはどちらというと健康に有害であるというイメージをもたれていました。
しかし、近年、糖尿病の予防効果が報告されるなど、むしろ健康に良い飲み物へとイメージチェンジしつつあります。

どうやら昔の悪者のイメージは、コーヒー愛好者に愛煙家が多いことが影響していたようです。
喫煙による健康被害の責任が、コーヒーにかぶせられていたのです。
いわば“冤罪”です。
一般に信じられているコーヒーが胃炎や胃潰瘍の原因になるという説も、イギリスのコーヒー科学情報センターによれば「科学的な根拠はない」ようです


コーヒーをたくさん飲むほど脳卒中のリスクが低下
コーヒーを飲む習慣には、脳卒中のリスクをかなり低下させる効果があることを明らかにした、2つの大きな研究が発表されました。

1つの研究は、8万人以上の女性を24年間も追跡したデータを分析したものです。
1日に2~3杯のコーヒーを飲むことで、ほとんど飲まない人と比べて、脳卒中のリスクが2割減少することがわかりました。
週に5~7杯でもリスクは12パーセント低下しました。
カフェイン抜きコーヒーでもこの脳卒中の予防効果はみられました。

「この効果はコーヒーに含まれるどの成分によるものかは明らかでありませんが、カフェイン以外のポリフェノール類などが良い効果をもたらしているようです」とこの研究をおこなったハーバード大学医学部のロブ・ヴァンダム教授は述べています。

もう1つは、 米国の国家の大規模健康調査からの、コーヒーを飲む習慣をもつ 40歳以上の9384人のデータを分析したものです。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校のデヴィッド・リベスキンド教授が、米国脳卒中協会の国際コンファレンスで報告しました。

この研究では、毎日6杯以上のコーヒーを飲む人々は、1日に1~2杯のコーヒーを飲む人々と比べて、一過性脳虚血発作(TIA)か脳卒中を起こすリスクが約4割も低下することがわかりました。
さらに、コーヒーを飲む習慣には、脳卒中のリスクの低下につながる血管の保護効果もあることが明らかになりました。

一過性脳虚血発作は、ミニ脳卒中とも呼ばれて、実際に小さい脳卒中がおきて、「視野の半分が見えなくなる半盲、どちらか半身のしびれや脱力、ろれつが回らない」などの脳卒中の症状がでますが、数分から数時間あるいは1日程度で消えるものです。
一過性脳虚血発作をおこした人は将来、大きい脳卒中をおこすリスクがかなり高くなることがわかっています。

どちらの研究者も、「コーヒーを飲む量が増えるほど、脳卒中のリスクが低下するようだ」と語っています。

脳卒中は、死に至るケースも少なくないことに加えて、幸い助かったとしても多くの場合で障害が残ります。
このため、予防が大切になります。


緑茶や紅茶にも 脳卒中の予防効果が!
コーヒーだけでなく、緑茶や紅茶を飲む習慣も脳卒中のリスクを低下させるという研究結果もあります。

この研究は、4378人の脳卒中の患者を含む19万4965人のデータを分析しています。
やはり米国脳卒中協会の会合で発表されました。

お茶を1日に3 杯飲む人は、ほとんど飲まない人とくらべて、脳卒中のリスクが 21 パーセント減少することがわかりました。
「お茶が緑茶であるか紅茶であるかは、重要ではなかった」と、この研究を行なったカリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部のレノール・アラブ教授は述べています。
ただし、「いわゆるハーブティーには脳卒中を予防する効果は見られなかった」と付け加えています。

この研究でも、お茶の摂取量が増加するのに比例して脳卒中のリスクが低下することがわかりました。
アラブ教授は、「お茶を6杯飲む人は効果が2倍になって脳卒中のリスクが42パーセント低下するでしょう」と説明しています。
この効果は、お茶に含まれるカテキンの一種か、アミノ酸のテアニンによるのではないか、と教授は考えています。


お茶の時間を楽しむ余裕が、ココロとカラダを健康に
コーヒーのアロマ(芳香)や、お茶のテアニンには、精神を安定させるリラックス効果があることもわかっています。
記憶力など脳の認知機能の低下を予防する作用もコーヒーやお茶にはあるようです。
忙しくても一杯のコーヒーを味わう時間を大切にしてください。
お茶の時間を楽しむ余裕は、あなたのココロとカラダの健康に確かに役立つことでしょう。

ただし、不眠症や不安症、高血圧や心臓病などをもつ方は、コーヒーによって悪影響を受ける場合がありますので、脳卒中の予防に役立つからといって、無理にコーヒーを飲むことはおすすめできません。
                             清野 仁與 [エディター]
出典 DIAMOND online 2009.2.26
版権 ダイヤモンド社


<私的コメント>
以前、当院で進行食道がんが見つかりました。
70代の男性で熱いコーヒーを1日数回飲むことを何よりの楽しみにしてみえる方でした。
せっかくのコーヒーの効用の話のすぐ後で水を差すようでもうしわけありませんが、食道がんは酒タバコ以外に熱い飲み物は危険因子といわれています。
何でもほどほどがいいということなのでしょうか。



コーヒーを飲む量が多いほど口腔、咽頭食道がんの発症リスクが低い
http://www.pbhealth.med.tohoku.ac.jp/outline/cohoto/0811coffeeconsumption.html
(熱くないコーヒーは食道がんの予防になるようです)

食道ガンの原因: タバコ・酒・熱い緑茶
http://blog.goo.ne.jp/indec/e/662e3ab5357c03dcb24c0e284be4b109





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柏本龍太 『偏西風』 油彩
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があります。