脳梗塞後のまひ、後遺症に酵素が関与

脳梗塞後のまひ、後遺症関与の酵素発見 医薬基盤研など

医薬基盤研究所と大阪大の研究グループはマウスを使った実験で、脳梗塞で起こる重いまひの後遺症に関与する酵素を見つけた。
この酵素神経細胞を障害から守る働きを邪魔する。
この機能を止める物質を、後遺症を軽減する新薬として使える可能性がある。
成果は米科学誌ニューロンに掲載された。

医薬基盤研究所の竹森洋プロジェクトリーダーと北川一夫阪大准教授らの成果。
「塩誘導性キナーゼ2」(SIK2)という酵素が、神経細胞の保護作用を邪魔していた。

脳梗塞でいったん滞った血流が再開しても、一部の神経細胞はダメージを受け死滅してしまう。
研究チームはその際に細胞内のカルシウムイオンの濃度上昇などが起き、神経障害を起こす作用だけでなく保護作用も活性化するのに着目。
酵素の働きを見つけた。

SIK2が機能しない遺伝子改変マウスと通常のマウスの両方に脳梗塞を起こして実験。
血流の再開後に神経細胞が死滅した面積を調べると、改変マウスでは通常型の半分にとどまった。
SIK2の働きを薬で一時的に妨ぐことができれば重いまひなどを回避できる可能性があり、今後マウスで効果を確かめる。

出典  日経新聞 Web刊 2011.1.17
版権  日経新聞

’’’<私的コメント>’’’
「塩誘導性キナーゼ2」(SIK2)も、生体にとって本来何らかの意味を持つ酵素なのでしょうか。
またこのSIK2の酵素活性の強弱によって後遺症に差が出るということなのでしょうか。





<番外編>

突然死リスクの心臓病患者、iPSから心筋細胞 新薬に道

延長症候群の患者は、薬の使用が原因で不整脈が起きる場合がある。
今回作製した心筋細胞を利用すれば、この病気の治療薬開発だけでなく、新薬開発の際の毒性試験に利用し、副作用があるかどうかを調べることができるという。

研究チームは、家族性QT延長症候群(2型)の28歳の女性から採取した皮膚の線維芽細胞を使用。
iPS細胞を作製して、心筋細胞に分化させた。

この心筋細胞の電気的活動は、QT延長症候群の特徴を示していた。

iPS細胞は、傷ついた臓器や組織を修復する再生医療のほか、今回のような病気のメカニズム解明や新薬開発での利用も期待されている。

出典  日経新聞 Web刊 2011.1.17
版権  日経新聞

<私的コメント>
「iPS細胞を利用した病気のメカニズム解明や新薬開発への道」ということでニュース性があると思います。



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