前立腺がん その1(1/3)

前立腺がんとは

日本の前立腺がんは近年急増しています
前立腺がんは、中高年男性に多くみられるがんです。
近年の高齢化、食生活の欧米化と検査精度の向上による正確な診断により、日本人の前立腺がん患者数は増えています。
厚生労働省の調査(平成17年度)では、男性がんの中で患者数はすでに第1位となっており、年齢別では50歳代前半では第7番目、60歳代前半では第2番目、60歳代後半以降では1番多いがんです。

米国では、前立腺がん罹患(りかん)率(病気にかかる比率)は30年以上前から男性がんの中で最も高く、25年前より男性がん死亡原因の第2位であったため、社会問題になっていました。
しかし、1980年代後半から普及した前立腺がん検診とその後の適切な治療の結果、1992年以降は死亡率が低下し始めています。

日本では前立腺がん死亡数は増え続けており、2008年は約1万人が前立腺がんで死亡していると推定されています。また、死亡数は将来も増加し続け、2020年には2000年の約3倍になると予測されています。

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前立腺がんは男性が最も気をつけなければいけないがんの一つであり、特に50歳代の男性からは気をつけなければいけません。
40歳代の男性にとっては、すぐに治療が必要な前立腺がんが潜んでいる可能性は約3,000人に1人と低いのですが、最近、40歳のときの前立腺特異抗原(PSA)値が、将来、前立腺がんが発病するリスクを予知するための基礎値として有用であり、もし癌が発病した際に、適切な治療を選択するために役立つ可能性のある重要な指標であることが分かりました。
特に前立腺がんのリスクが高まる50歳以上から、人間ドック検診では、将来のがん発見時のメリットのために40歳代から定期的に検診を受けることが大切です。

前立腺の働きと前立腺がん
前立腺とは、男性だけが持っている臓器で、膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように位置しています。
通常はクルミ程度の大きさで、形もクルミによく似ており、内部は中心部にある内腺と、辺縁部の外腺に分けられます。
精液の一部である前立腺液を作り、精子の運動機能を助けるはたらきをしています。

前立腺の位置としくみ
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中高年男性に多い前立腺の代表的な病気は、前立腺肥大症と前立腺がんです。

前立腺肥大症は、内腺が大きくなる良性の病気で、腫大した内腺が尿道を圧迫・刺激することなどで、「おしっこが出にくい」、「トイレの回数が多くなった」、「おしっこをしたあとすっきりしない」などの排尿に関する症状が現れます。

前立腺にできるがんを前立腺がんといいます。
一般的にはがんの成長速度は緩やかで比較的おとなしいのですが、一部には急激に増殖するものもあります。
多くは尿道から離れた辺縁の外腺にできるため、治療がすぐに必要な段階にまで大きくなっても、ほとんどの方は症状が出ないため、気づくことはありません。
さらにがんが大きくなり、尿道などに浸潤した場合などには血尿や前立腺肥大症のような自覚症状が出ることはありますが、無症状のまま転移(主な転移部位は骨)をきたすことも時にあり、さらに転移が広がると「腰が痛い」などの症状が現れます。

【監修】九州大学病院 泌尿器科 教授  内藤 誠二先生
【協力】群馬大学病院 泌尿器科 准教授 伊藤 一人先生

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<関連サイト>
男性型脱毛症治療薬プロペシア前立腺がん?!
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2011/06/18




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