眼瞼けいれん

眼瞼けいれん ドライアイと重なる症状

目の乾きやまぶしさなどの日常的な目の不快な症状は、ドライアイのせいだと思っていると、実は思いがけない病気の場合がある。
その一つが「眼瞼(がんけん)けいれん」。
早めに正しく診断を受けることが大切だ。

眼瞼とは「まぶた」のこと。
眼瞼けいれんは「眼瞼れん縮」ともいい、目の回りを囲む眼輪筋が勝手に収縮して、目が開けづらくなる。
つまり、まばたきの異常だ。

「『けいれん』という病名で誤解されがちだが、寝不足などで、一過性に目の下などがピクピクとけいれんする『ミオキミア』とは別」。
兵庫医科大の三村治教授はこう説明する。
三村さんは昨年、日本神経眼科学会の診療ガイドライン委員会で委員長を務めた。

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眼瞼けいれんは、乾き感や目を10秒も開けていられないなど、ドライアイと共通する症状が多い。
そのうえ、ドライアイを併発していることもあり、「誤診や見落としも少なくない」と三村さん。

目の不快な症状だけでなく、まぶしさが苦痛で昼間の外出を避けがちになったり、目を開けていられなくて運転中や歩行中に事故を起こしそうになったりした経験があれば、ドライアイと一度は診断を受けていても、改めて相談した方がいいという。

「チェック表で思いあたるようなら、早めに受診を。その際に『眼瞼けいれんの心配はないですか』とひとこと伝えるのがいい」と三村さんはアドバイスする。

多くは40代以上で発症する。
女性に多い。屋内外でまぶしさを感じるなど目の不快な症状と同時に、顔のシワが急に深くなってきたことが気になるときも、受診のタイミングだ。

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この病気は、筋肉の過剰な収縮が起きる。
長引くと、眉間(みけん)に深い縦ジワができたり、目尻にくっきりしたシワができたりする。
まばたきをするために顔面のほかの筋肉も使うようになるので、口元のほうれい線も深くなる。

神戸大の一瀬晃洋准教授(美容外科)は「目を閉じる筋肉の働きは、表情で大切な位置を占め、顔の老化の半分を左右するといえるほど。美容的な側面からも、早めに的確な診断と治療を受けて、筋肉をうまく調整することが大切だ」と話す。

治療の中心はボツリヌス療法。食中毒を起こすボツリヌス菌の毒素を使う。
ごく少量の製剤を目の周囲に注射して、過剰に収縮している筋肉を一時的にまひさせる対症療法だ。
国内で承認された医薬品で、治療は公的な保険がきく。
ただし、1回の注射の効果は3~4カ月程度で、回復しない場合は何度も治療が必要になる。

まぶしさを減らす特殊なサングラスや、筋肉の収縮を和らげる眼鏡のほか、補助的に飲み薬を使うこともある。(権敬淑)

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◆相談ナビ
眼科のほか、神経内科美容外科でも治療しているが、ほかの目の病気と区別するため、最初は眼科を受診するのが無難だ。
昨年できた診療ガイドラインは、日本眼科学会のホームページで公開されている。


出典 朝日新聞 apital  2012.2.23
版権 朝日新聞社


<私的コメント その1>
私自身も「眼輪筋ミオキミア」の方を「眼瞼けいれん」として患者さんに説明して来ました。
今後は気をつけたいと思います。


<私的コメント その2>
文中に「神戸大・美容外科」と書かれていたので、「神戸大・形成外科」の間違いではないかと少し調べてみました。
大学病院とりわけ国公立大学病院に「美容外科」という診療科は、まさかないだろう(「形成外科」は普通にあります)と思ったのですが、間違いではありませんでした。
この大学には「形成外科」と「美容外科」の両方がありました。
両者の違いにも興味があります。
ちょっと紹介させていただきます。

形成外科
診療科の概要と取り扱う疾患;
身体の中でも顔面、手足など、外から見える部位の組織欠損・変形・醜状に対する悩みの治療を行なっています。
取り扱う疾患としましては、顔面・手足 などの先天異常や外傷(顔面骨骨折含む)、皮膚・皮下腫瘍(母斑・血管腫・悪性腫瘍含む)、瘢痕・瘢痕拘縮・肥厚性瘢痕・ケロイド、褥瘡・難治性皮膚潰瘍、顔面神経麻痺、眼瞼下垂症、禿髪、義眼床再建、リンパ浮腫下肢静脈瘤腋臭症などが挙げられます。
得意とする診療内容;
当科で特に力をいれている疾患・治療としましては、あざ・血管腫、顔面外傷・顔面骨骨折、義眼床再建、乳房再建、小耳症・耳介先天異常、唇裂・口蓋裂、眼瞼下垂症、褥瘡・難治性皮膚潰瘍、顔面神経麻痺、リンパ浮腫などが挙げられます。
http://www.hosp.kobe-u.ac.jp/consultation/guide/department/keisei.html#tantou

美容外科
平成19年10月1日に、神戸大学医学部附属病院において美容外科が開設されました。
既に一部の国立の大学病院の形成外科において美容外科の診療が行われておりますが、専門診療科として設置されたのは国立では初めてです。
診療は、専用の外 来施設で行われます。
診療の中心は主に体表面の抗加齢(アンチエイジング)外科手術です。当
診療科は、科学的根拠に基づいた美容医療の実践を行うと同時に、美容医療の正しい情報を患者様に提供することに努めて参ります。
美容外科に携わる医療人の育成、優れた医療技術の研究と開発も当診療科の役割です。
美容外科の診療・教育・研究により、充実した社会生活の実現に貢献することが私たちの使命です。

1.シワ、タルミなど老化による顔面・体の変形の修正手術に関するご相談
例.フェイスリフト(ほほ、ひたい、首)、脂肪注入、まぶたのタルミ取り、体のタルミ取り・脂肪吸引など
2.顔面・体・四肢の審美外科手術全般のご相談
例.二重まぶた手術、鼻の形成術、顔面骨切り術、バストの手術、体・手足の脂肪吸引など
3.レーザー・薬剤などによる皮膚の若返り治療のご相談
例.肌診断、レーザー・薬剤(内服、外用)による肌の若返り、フィラー(コラーゲン、ヒアルロン酸など)やボツリヌス菌毒素による顔面の若返り治療、脱毛症など
4.傷あとの修正などの相談
例.傷あとや体表面の変形の修正、いれずみ除去希望など
※抗加齢外科(アンチエイジング)手術が当院で行う診療の中心でありますが、その他の美容外科手術のご相談も承っております。
診察の上、関連医療機関などでの治療のご紹介も可能ですので、ご相談下さい。
※当診療科は保険診療対象外の診療施設です
http://www.med.kobe-u.ac.jp/cosme/outline.html